愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

違和感

保健室の先生に手首を見せると、だいぶ腫れていた。
「あら…これは…」
先生が湊人の手首に触れる。
「い゛っ！」
湊人はあまりの痛さに震えた。
「もしかしたら、折れてるかも…病院でレントゲン撮ってもらわないと…。今日は帰って病院に行った方がいいわ」
「え～、来たばっかなのに…」
「お家の人に連絡するわね」
先生は連絡先の載ったファイルを出した。
「あの、今日、母が友達と日帰り旅行行ってて…。家には誰もいないです。母も夜にならないと帰ってこなくて…」
今日の旅行をキャンセルするか、ずっと悩んでいた母は、湊人が「もう体調大丈夫だよ。心配しないで」と無理に送り出したのだった。
「そう…。どうしましょうか？」
「オレ自分で病院行きます。ちゃんと自分から母に連絡しておきます」
「そう。わかったわ」
「それにしても…」
蓮が呟いた。
「湊人、最近色々起こりすぎだよな。この間、川で死にかけて、その前は植木鉢が降ってきたし…」
「まあ…」
先生は驚いて口を押さえた。
「他にも色々細かく、不運が起こってるんですよ」
「そう…お祓い受けてみたら？」
「お祓い…」
湊人は頷く。
「ねえ先生。日本の神様でも、悪魔に勝てるかな？」
「そうね…どうかしら…」
「湊人…？」
蓮は湊人の言葉に違和感を覚えた。