愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

藤波璃久

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苦しみ

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次の日、目を覚ました湊人は、体が動かなかった。
「湊人…朝よ」
母が湊人の部屋を覗く。
「湊人?」
「…う…母さん…はあ…苦しい…」
「やだ…すごい熱! 湊人学校お休みね。病院行きましょうね。朝食の片付けしちゃうからちょっと待ってて」
母は急いで部屋を出て行く。
「ハア…ハア…」
『よう…ずいぶん苦しそうだな』
そこに現れたのは、湊人の体に入った悪魔ツァラオヘル。
「おまえ…」
『オレさまは、自由に契約者の前に顕現できるんだ。本体はおまえの中にいる。まあ、立体映像のようなものだがな』
「これも…ハアッ…おまえの仕業か…?」
『……。いや、ただの風邪だろ? と言ってもオレさまは、中に入った人間がどんな不運に遭うかはわからないんだ』
「そうか…」
『まあ、川で溺れて、その後ろくに体も温めずにHしたからじゃねえのか?」
「…見てたのか」
『おまえの中にいるんだ。見たくなくても、見えちゃうんだよ。ずいぶんと、「アンアン」言ってたよな? そんなに気持ちよかったのか? あいつとのセックスは…』
「やめろ…言うな…」
『あいつもずいぶん気持ち良さそうだったな。なあ、オレさまもおまえの中に挿れてみてもいいか? すげー興味あるんだ。 オレさまのは人間とは違ってスゴイんだぜ?』
「…冗談じゃない…消えろ…ハアッ…」
湊人は体を起こし、ツァラオヘルを払うように手を動かした。
「…ッハア…ぅ…」
めまいを起こし、ベッドから転がり落ちた。
『おいおい…まさかもう死ぬのか? もう少しおまえの不幸を味わいたかったがな…』
「…ハアッ…ハアッ…」
『聞こえてないか』
ツァラオヘルの映像のようなものは、煙となって湊人の中に吸い込まれた。
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