愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

藤波璃久

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お風呂

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ーピチャンー

湊人が目を覚ますと、蓮の顔が近くにある。
蓮が湊人を後ろから抱きしめて湯船につかっていた。
「湊人?」
「ん…蓮? ここお風呂?」
「ああ…湊人起きないから、洗ってあげた」
「ごめん」
「いや…。無理させちゃったか?」
「ううん」
湊人は首を振った。
「その…気持ちよくって、ウトウトしちゃって…」
「そっか」
蓮は湊人に口づける。舌を絡ませ、チュッチュッと、湊人の舌を吸う。
「んん…ぁ…らめ…気持ちよくなっちゃう」
「ん…いいよ…なっても…」
「ん! ぁ…ハア…」
湊人が蓮のキスにウットリしていると、
「ただいま」
という声が聞こえた。
「え? ヤベ…母さんだ。もうそんな時間?」
「蓮? れ~ん!」
廊下の方から声が聞こえる。
「今風呂」
蓮の母、神木佳乃かみきよしのの影が風呂場のすりガラスに映った。
「お風呂? 玄関に蓮のじゃない靴があったけど、誰か来てるの?」
「あ…湊人が…」
「お邪魔してます」
湊人が風呂の中から挨拶した。
「湊人くん? 2人一緒にお風呂入ってるの?」
「あ…えっと…」
湊人が何て答えようか困っていると、蓮が答えた。
「ああ…湊人の奴、川に落ちて溺れたんだ。俺も助けに入ってずぶ濡れになったから、暖まろうと思って」
「え? 溺れた? 大丈夫なの?」
「一回呼吸止まったけど、大丈夫みたいだ」
「一回呼吸止まったの? 迎えにきてもらった方がいいわね。おばさん、お母さんに電話してくるわ」
佳乃が、リビングに行く足音がして、湊人は慌てた。
「あ、ちょっと」
湯船から腰を上げた時、ズキッと痛みが走った。
「っ…」
「湊人?」
「腰痛い」
「え、あ…ああ」
蓮は痛みの原因を悟った。後ろを使ったHのせいだろう。
「足に…力…入んない」
「え? 大丈夫か?」
「大丈夫じゃない…」
蓮は湯船から出て、湊人の体を抱き上げる。
「蓮…?」
蓮は湊人を脱衣所に置いてあった簡易的なイスに座らせた。
バスタオルで湊人の頭を拭く。
「自分で拭ける」
「あ…そっか」
湊人は、明らかに不機嫌だった。
「湊人。怒るなよ…」
「怒ってない」
「…初めてだから、体に負担かかったんだな…。そのうち慣れると思う」
「…もうしない」
「え?」
「だって…体こんな風になるって思わなかったし…」
「湊人…機嫌直せよ…」
蓮は湊人のおでこに…頬にキスをする。
(もう…。しょうがないな)
湊人は口角を上げた。
蓮は湊人が少し微笑ってくれたのでホッとした。
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