愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

藤波璃久

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重なる不運

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次の日は大雨だった。学校では、消しゴムを忘れたり、給食に自分だけプリンがなかったり、美術の授業で彫刻刀を使っていて、指を切ったくらいだった。
消しゴムは蓮が貸してくれたし、プリンも蓮が半分くれた。今日の不運もそんなに大した事はなかった。でも、帰り道は気をつけないと、昨日のように、大ケガをするような事故に遭うかもしれない。

湊人と蓮は、帰り道を歩く。朝からふっている雨は、午後になってさらに強さを増し、強い風も吹いていた。
橋の上に差し掛かった時、向こうから来る車がこちら側へ寄ってきているような気がした。
(あの車、こっちに突っ込んでくる?)
湊人は車を避けようと、橋の欄干に手をかけ、端へ寄った。
ーバキッ
突然、鉄でできた欄干が折れた。
欄干に体重をかけていた湊人は、折れた欄干と共に川へ落ちていった。
「湊人!」
蓮は土手へ降りて湊人を追いかけた。
増水した川の流れは速く、たとえ泳ぎがうまくても、溺れる可能性が高かった。
湊人は、川から顔を出して、なんとか息をしようとしている。だが、とても苦しそうで、溺れてしまうのも時間の問題だ。
 川の中央に大きな岩が出ているのが見える。
 蓮は周りを見渡し、使える物がないか探した。
どこから飛んできたのか、店先に置く、昇り旗のポールが『SALE』と書いた旗とともに落ちていた。
蓮は、ポールを川へ突き立てた。川底にポールの先が着いたが、ポールが長いおかげで30㎝くらいは頭が出ていた。
河原に学校のカバンを無造作に投げ捨てて、
川の中央にある大きな岩まで、棒高跳びの要領で跳んだ。
岩の少し手前で落ち、岩につかまった。
そこに、ちょうど湊人が流れてきた。
蓮は湊人を摑まえると、運よく流れてきた板につかまり、岸に泳ぎついた。
その一連の動きは、まるで神が味方しているかのような強運だった。
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