24 / 72
悪魔との契約
しおりを挟む
湊人の頭の中に、夜の街並みを見下ろしている光景が浮かんできた。
(これは、前世で自殺した時、見ていた光景だ)
前世の最期に何があったか思い出してきた。
ー 美奈子は、屋上から飛び降りた。
すぐ地面に激突するかと身構えるも、いつまで待っても衝撃は襲って来ない。
目を開けると、時が止まったかのように、空中で停止している。
一体何が起こっている?
『お前、死ぬんだな?』
声のする方を見ると、大男が浮かんでいた。
「誰?」
『オレさまは悪魔のツァラオヘル。死ぬのならその魂オレさまにくれないか?』
「…いいよ。どうせ死ぬから」
『悪魔界の掟で、人間と契約する時、魂をもらう代わりに願いを叶えないといけないんだ。どんな願いでも叶えてやるぞ』
「本当に? 願いを叶えてくれるの?」
『ああ、どんな願いだ?』
「いじめた奴に復讐したい」
『復讐か。どんな風に復讐するんだ? 事故に遭わせて殺すのか? 親の会社を倒産させて路頭に迷わすのか?』
ツァラオヘルの提案は、どれもえげつないものだなと美奈子は思った。
「…私が…そう、私が自分の手で、復讐したい」
『自殺をやめて、屋上に戻るのか? まあ、魂をもらうのはお前の寿命が尽きる時だから、それまで待ってやってもいいが…』
「違う…。また、生き返っても幸せには絶対なれないもの。もう一度、過去に戻り、自分自身に産まれ直したい。女じゃ幸せになれないから、男に産まれ直したい!」
『なんだその願いは? ふざけるな! 魂がオレさまのものになるまで、さらに時間がかかるじゃないか。今までの自殺者は、「やっぱり死ぬのやめたい」とか、「残してきた子どもを幸せにしてくれ」とかだったぞ』
美奈子はジト目で悪魔を見た。
「ふ~ん。できないんだ?」
『できるぞ! できるが、お前本当にいじめッ子に復讐するんだろうな?』
「なんで?」
『オレさまは人間の不幸や悲しみを食べるのが好きなんだ。だから、お前がいじめっ子を不幸にするのなら、その願いを叶えてやる』
美奈子は、元々桃華に復讐する気でいたので、その条件をのんだ。
「ちゃんと復讐するよ」
『わかった。契約成立だ』
ツァラオヘルが、指をパチンと鳴らすと美奈子の意識は闇に溶けていった。ー
(これは、前世で自殺した時、見ていた光景だ)
前世の最期に何があったか思い出してきた。
ー 美奈子は、屋上から飛び降りた。
すぐ地面に激突するかと身構えるも、いつまで待っても衝撃は襲って来ない。
目を開けると、時が止まったかのように、空中で停止している。
一体何が起こっている?
『お前、死ぬんだな?』
声のする方を見ると、大男が浮かんでいた。
「誰?」
『オレさまは悪魔のツァラオヘル。死ぬのならその魂オレさまにくれないか?』
「…いいよ。どうせ死ぬから」
『悪魔界の掟で、人間と契約する時、魂をもらう代わりに願いを叶えないといけないんだ。どんな願いでも叶えてやるぞ』
「本当に? 願いを叶えてくれるの?」
『ああ、どんな願いだ?』
「いじめた奴に復讐したい」
『復讐か。どんな風に復讐するんだ? 事故に遭わせて殺すのか? 親の会社を倒産させて路頭に迷わすのか?』
ツァラオヘルの提案は、どれもえげつないものだなと美奈子は思った。
「…私が…そう、私が自分の手で、復讐したい」
『自殺をやめて、屋上に戻るのか? まあ、魂をもらうのはお前の寿命が尽きる時だから、それまで待ってやってもいいが…』
「違う…。また、生き返っても幸せには絶対なれないもの。もう一度、過去に戻り、自分自身に産まれ直したい。女じゃ幸せになれないから、男に産まれ直したい!」
『なんだその願いは? ふざけるな! 魂がオレさまのものになるまで、さらに時間がかかるじゃないか。今までの自殺者は、「やっぱり死ぬのやめたい」とか、「残してきた子どもを幸せにしてくれ」とかだったぞ』
美奈子はジト目で悪魔を見た。
「ふ~ん。できないんだ?」
『できるぞ! できるが、お前本当にいじめッ子に復讐するんだろうな?』
「なんで?」
『オレさまは人間の不幸や悲しみを食べるのが好きなんだ。だから、お前がいじめっ子を不幸にするのなら、その願いを叶えてやる』
美奈子は、元々桃華に復讐する気でいたので、その条件をのんだ。
「ちゃんと復讐するよ」
『わかった。契約成立だ』
ツァラオヘルが、指をパチンと鳴らすと美奈子の意識は闇に溶けていった。ー
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

使命を全うするために俺は死にます。
あぎ
BL
とあることで目覚めた主人公、「マリア」は悪役というスペックの人間だったことを思い出せ。そして悲しい過去を持っていた。
とあることで家族が殺され、とあることで婚約破棄をされ、その婚約破棄を言い出した男に殺された。
だが、この男が大好きだったこともしかり、その横にいた女も好きだった
なら、昔からの使命である、彼らを幸せにするという使命を全うする。
それが、みなに忘れられても_
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)


愛人は嫌だったので別れることにしました。
伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。
しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

皇帝の立役者
白鳩 唯斗
BL
実の弟に毒を盛られた。
「全てあなた達が悪いんですよ」
ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。
その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。
目を開けると、数年前に回帰していた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる