愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

本当に好きな人

次の日、蓮と待ち合わせて、2人で学校に行くと、トイレから出てきた桃華が女友達と談笑しているところに出くわした。

「でもさ、桃華ちょっとヒドいかもよ？ 湊人くんがイケメンだからって、『イケメンの彼氏がいる』自慢したいがために、湊人くんと付き合うなんて」
「だって、蓮くんに振られたから、湊人くんしかいないし…。従姉妹が自慢してくるんだもん。イケメンの彼氏が出来たって。写真見せてもらったけど、蓮くんと湊人くんの方がかっこよかった」
教室に向かう桃華たちがそんな話をしている後ろで、まさか、本人達が聞いているとは思っていないのだろう。
「中田さん」
湊人が声をかけると、桃華はビクッとして、後ろを振り向いた。
「み、湊人くんと蓮くん？ どうしたの？」
桃華は気まずそうに、一緒にいた友達を見た。
「さっきの話ってさ、ホント？」
「…やだな～、ホントなわけないじゃん」
「まあ、ホントでもウソでもどっちでもいいけどな」
蓮が冷たく言い放つ。
「中田さん。オレ、君と付き合うって言ったのなかった事にしてほしいんだ」
「え？」
「オレ、本当に好きな人と付き合う事になったんだ」
「そんなの、ひどくない？」
「ごめん」
「誰よ？ 好きな人って」
湊人は蓮をチラ見してから言った。
「蓮と付き合う事になったんだ」
「はあ？ 男同士じゃない。ウソつかないで！」
「ホントなんだけど…」
「絶対別れないから！」
桃華は教室へと走って行った。