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好きな人

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「湊人、中田と付き合うことにしたんだって?」
昼休みの終わり頃、蓮が話しかけてきた。
「え? もう、知ってるの?」
「中田が言ってたんだ。湊人くんと付き合う事になったってさ」
「…そう」
「…でも、中田さ…。この間、俺に好きだって言ってきたんだ」
「え?」
「俺は他に好きな人いるって断ったんだ。女子って心変わり早いよな?」
「…それって…本気でオレを好きなのか、わからないよな?」
「ん~? でも、良かったんじゃない? 湊人も好きなんだろ? だったら、こっちが頑張って本気で惚れさせちゃえば?」
「蓮は、オレが中田と付き合っても、寂しくない?」
「え?」
蓮はキョトンという顔をしていた。
「あ、なんでもない」
湊人は慌てて走り去った。

湊人は蓮の気持ちを確かめるような質問をした事を後悔した。
あの様子では、自分の事を友達以上に見てはいないだろう。
「ふ…っ…ぅ」
溢れてきた涙を拭う。
嗚咽が漏れないように口を押さえた。
トイレに駆け込み、個室でひとしきり泣いて、落ち着いた。
教室に戻ろうと思い、個室を出てカガミを覗くと、目が真っ赤になっていた。泣いたのが丸わかりだった。
この顔を蓮に見せたくない。
湊人は、保健室に行き体調不良を訴えて、早引きすることにした。
 
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