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第七章 勇者するより旅行だろ・・・?
第百十四話 漫画かよ
しおりを挟む「・・・馬鹿なのかい?君ら二人は~」
無事マーリンに保護され、俺とルシウスは会議室に案内された。とりあえずの避難場所として近かったのが会議室だっただけで、その他の理由は特にない。
女帝マーリンはこのロザリア帝国において美しく、強い女性の象徴となっているため、護衛無しに誰とも知らぬ俺たち二人と会うわけにはいかなかった。なので、この国で最も強い戦力である翡翠が傍らに控えている。二対二で話せるとは思っていなかったので良かった。
「いやァ助かったぜェ」
「おう。危うく犯罪者になるところだった」
不法侵入と城内兵士への暴行罪で。
「・・・俺が説明すればよかったですね、すみません」
翡翠は悪くない、全てはルシウスが悪いんですよ。
「それで?私の城になんのよう~?化物への対応のせいで忙しいんですけど~?」
ぶっちゃけ、マーリン用がないんですけどね。
でもさ、俺たち悪くなくない?あれじゃん、勇者じゃん?俺たちを場内に置き去りにしたのはあの反射使う勇者でしたよね?俺、おぼえてるよ?
そのことをどう説明しようか。そう悩んでいた時、会議室の扉が開いた。
「女帝様、そいつらを連れてきたのはうちの勇者様だったみてぇだ」
現れたのは外道魔王と、俺とルシウスを置き去りにした勇者だ。
「よく分からんな。事情を説明してくれ」
おぉ、いつもの厳格モードになってる。やっぱり、十年経っても続けてたんだな。勇者はまだしも、外道魔王はマーリンが化物ってことには気付いてるかもな。翡翠を見る時と同じ目をしてる。俺たちのことは『異物』としか認識できてないみたいだけどな。
勇者様の説明が入り、俺達の無罪が証明されました。
「ふーん、楓とルシウスがここに来た理由はあとで聞き出すとして・・・楓、あの化物の正体は?」
ことが終わってからこちらに到着したマーリンは、奴のことを見ていないようで、悲惨な事件だったという報告しか受けていないそうだ。
マーリンが普通の女帝だったら「突然空に穴が空いてそこから無数のハエが現れ、人間を喰い始めた」なんて言われても信じないだろう。
「ヤマのとこで謹慎食らってた常世神だ。あの、虫のやつ」
「・・・あの小娘か・・・・・・」
マーリンさん、怒ってますか。
「あとでそちらに出向くとしよう。誰の国に手を出したか、じっくり教え込んでやる」
怒っているようです。プンプンですね。
普段あまり怒らないマーリンさんが青筋浮かべてますよ。なかなか見れない光景ですよこれは。怒りによって彼女の莫大な魔力が漏れだし、周辺の空間を歪めている。
外道魔王と勇者の顔が別次元の威圧に当てられて真っ青になっている。そろそろやめてあげてはいかがだろうか。・・・というか、そろそろ止めないと失神するぞ。
「その必要はない」
密室状態のこの空間に新たな客の声が。
今日何度目かの次元の扉が開かれると、大柄な化物と顔が絶望に満ちた哀れなちびっ子が現れた。
「・・・申し訳なかったのじゃ」
それだけ言って常世神はそれ以上口を開かなかった。
どんな地獄を見たのか、しっかりと反省しているようだな。彼女の不死性が彼女自身を苦しめたのかもしれない。不死というのは、よく人間の夢に出てくる。だが、実際になってみると、不便なことが多かったりする。化物の頂点に近い連中はあまり感じることのない感覚だが、成り立てで死の概念を完全にとっぱらってしまった常世神にはそれがよく分かると思う。不死というのは復活までの時間が存在しない力だ。どれだけ痛みを受けても終わりは来ない。そしてそれは巨大な存在に出会った時に自分を最も苦しめてくる。常世神が俺やヤマを酷く恐れているのはそれが原因。普通の化物ならば復活時間がかかりすぎるため、一度で終わる仕置が終わることのなく続けられるのだ。不死とは夢に見るようないいものでは無い。ちなみにだが、不死どもが最も恐れている存在は俺ではない。力があるだけの俺ではないのだ。最も恐れているのは彼女の隣にいる『ヤマ』という大きな存在だ。地獄と楽園を保有する化物最大コミュニティの頂点。彼の保有する地獄では痛みと苦しみ、悪夢と絶望、それらを常時与えられる場所だ。次の復活までに時間のある化物でも厳しい世界である。そこに、死ねない、意識を失えない不死が行けばどうなるか・・・・・・お察し。
「へぇ~申し訳ないで許されると思ってるんだ~、へ~。私のところの民を喰いまくっといてね~」
マーリンは非常に怒っている。
「ここで永遠の痛みを与えてもいいんだけど~どうするぅ~?ゴミ虫~」
自然と言葉が悪くなる。
「うっ・・・」
「なんっ・・・!」
これ以上は危険なので、外道魔王と勇者の意識を刈り取る。現在マーリンの怒りを体現するように彼女を取り囲む魔力は化物もしくはそれに近しい者以外が浴び続けると精神の崩壊を招きかねない。
「ありがと~気付かなかったよ~」
いつもの軽い口調とは少しトーンが違うが、俺が二人を気絶させたことで、魔力が溢れていることに気付いたようで、すぐに制御して引っ込める。
魔力の正体は怒りの波動に恐怖を混ぜただけのものだ。それ自体は多少武を修めているものならば魔力が無くても再現できる。
誰にでもできる技術。だからこそ、使用者の力が強く反映される。化物の、それも上位者の俺達が使えば・・・・・・それは人を容易く屠ることの出来る凶器になる。人も、魔物も、神すらも殺せる。
自分の意思に関係なく発動してしまったのは、それほど激しい怒りを持っていたということだ。
しかし、常世神はまだそれの重要性には気付いていないようだ。だからこんな馬鹿なことが言えたのだ。
「・・・・・・人間が死んだ如きで・・・」
その瞬間、制御し、引っ込めたはずの魔力がマーリンから濁流のように流れ出す。
俺はすぐさま、この部屋からマーリンの魔力が漏れでないように、結界を貼り付けた。特別に頑丈なものだ。それこそ俺が化物上位者と戦う時と同じレベルの結界を。
溢れ出た魔力は結界に阻まれて外に出ることが出来ず、この部屋に溜まっていく。全体に魔力が行き渡ると、今度は濃度を高め始めた。
濃度が高くなっていくと同時に、この部屋の中で嵐が起き、部屋に出来た雲の中では雷が踊り始める。雨が降ったり、太陽が生まれたりと、凝り固まった科学者が発狂しそうな状況を作り出した。
マーリンが化物として恐れられているのは彼女が体内に持つエネルギーが原因だ。厳密に言うと少し違うのだが、ここでは魔力と仮称しよう。彼女の持つ魔力、魔法魔術魔導の源となる力、これが普通じゃない。
一般的に、大体の者が持つ魔力とは空気と同じで、知らぬ間に取り込んで体内で本来の役割を発揮する。それを意図的に体内から出すことが出来るのが魔を扱う者達。
しかし、魔の研究を長い年月をかけて続けてきたこのマーリンという化物は、魔の極意である魔導を修めたあと、己の体内にある魔力に手をつけたのだ。魔法の構築、改造は御手の物であった彼女は魔力を改造し始め、そして遂に完成させたのだ。
それがコレ。
魔力が自然を生み出し、やがては宇宙を創造する。
馬鹿げた話だが、事実、この場で起こっている。
この化物の魔力には意思がある。そう口にしていたのは翔太だったか。魔力が好き勝手に動き出し、好き勝手に魔の最終到達点を目指す。
ただし、この魔力たちはマーリンの意志にそぐわないことはしない。魔力に意思を与えたマーリンの力になりたいというのが魔力の絶対的で変わることのない想い。
そして今、魔力はマーリンの役に立とうと動いている。俺の結界により、暴れれないために小さいことを探しているようだ。魔力の動きを見れる(新能力を作った)俺からすると、この魔力たちは案外可愛いもんだ。
だがまぁ、俺とヤマ以外には苦しいだろうなぁ~。
「ゴミ虫が・・・あまり調子に乗るなよ・・・?」
常世神の体から死んだ虫が零れ落ちてくる。血も流さずに死んだ。
そして、意思ある魔力が常世神の虫を喰らっていく。虫が出てこなくなった次の標的は無論本体だ。
魔力による拘束された常世神は抵抗しようにもできない。させない、と言うべきか。
「マーリンよ。落ち着け」
ヤマはこう言うが、無理矢理止めたりはしない。
今回の事件、元をたどればヤマの責任なのだから。
俺もそのへんの話をじっくり、詳しく、正確に教えて頂きたいものだな。
と、いうわけで
「そこまでだマーリン。発端から現在までの話を聞かせてくれ、ヤマ」
部屋に充満した魔力と覆うように張った結界を同時に消し去り、強欲の力でマーリンを強制的に普段の状態にまで戻させた。
民を殺されてカチンとくるのはわかるが、この時間にも化物共が世に解き離たれつつある。原典の守護者としてはそうゆっくりもしていられない。状況によっては明日香と奏汰を置いて俺だけ帰還することも考えているのだ。
早期解決のため、俺も動かねばなるまい。
常世神に向けて鋭い視線を送り続けているマーリンは不服そうな顔をしているが、嫌々ながらも魔力の放出をやめた。マーリンも先にヤマの話を聞く気になったようだ。
「・・・事件自体は至極簡単な話だ。俺が地獄を空けて出張してる時に何者かが侵入し、脱獄を手伝った。それだけだ。今は俺の部下や姿をくらませていたはずの死神が討伐、捕獲に乗り出している」
「賊は何体だ?」
「さてな。俺は探知系の能力に疎い。そこまでは分からんかった」
ふぅん、賊ねぇ。
死神がカムバックしたのも気になる。なぜこのタイミングなのか。・・・もしや、死神が消えていた理由と繋がっていたりするのか?
「侵入したのはこの世界だけではなかった。他にもこの世界から近いいくつかが攻めいられている。なぜ原典では無くここなのか、それはまだハッキリしていない。拷問しつつ聞き出しているが、今のところは成果なし・・・だな」
これは運命か、はたまた仕掛けられた面倒な横槍か。
「これは既に地獄のみの問題ではない。是非お前らにも協力していただきたい」
ヤマが俺、マーリン、ルシウスの化物三人に頭を下げる。
「私はもとよりそのつもりだ。既に数千体は狩っているはずだしな」
「・・・俺はうちの大将に聞いて見ねェとなァ~」
「俺を使うのは最後だ。それまではほかの奴らに頼め」
俺に頼むのは最後の最後。全ての手をやり尽した末に頼らせる。確かに、俺が出ればものの数分で事態は収束するだろう。だが、それでは意味が無いのだ。俺が強欲を取り戻し、新たに破壊を手にしたことで俺の考えが少しづつ変わり始めている。俺が目指すのは『成長』だ。俺ではなく、世界全体の、な。
故に、俺以外のヤツに解決してもらいたい。
降りかかる火の粉は払うが、自ら油となって飛び込むことはしない。
「・・・そうか」
納得していないようだが、納得してほしい。
「人間、亜人、魔族、天使、悪魔、神、化物。原典でも見ることの出来ない壮絶な戦いになりそうだね~」
復讐の戦争から弔い合戦へと移行し、やがては神話すらも巻き込む大戦争へ、か。
マーリンの言う通り原典でも見ることのなかった泥試合になりそうだ。この戦争がどのように帰結するのか。それは俺でも分からない。
ネメシスが落ち、亜人の纏め役も消えた。魔族も全て結託しているわけでは無さそうだ。
各種族が弱っている時期に割り込んできた悪魔、神、化物。
この戦争は単なる種族間の戦争では終わらない。神話の戦争。世界全体を巻き込む戦争になるかもしれない。
恐ろしいことやで、全く。
◇◆◇◆◇◆
その場会議はとりあえず終了し、ルシウスはロリコン紳士を探す旅に出かけ、マーリンは翡翠に内政を任せて再び争いに身を投じる。地獄の騒動がおさまっていないヤマは常世神にアイアンクローをし続けながら彼の住処へと帰っていった。
俺、取り残されました。
いや、することはあるよ。明日香と奏汰を探すのだ。人の良いあいつらの事だから、今頃復興の協力をしているのだろう。
そろそろ行かないとドヤされるな。ということで、この城からもおさらばしようとした時
「楓様っ!」
超絶イケメンに呼び止められました。
どこぞの漫画の主人公だよ。俺はヒロインじゃねぇぞ。そんな告白直前の男子高校生みたいな顔すんなよ。
「また、どこかへ行かれるのですか・・・?」
悲しそうな顔をしないでくれ。眷属にそんな顔されたら行きにくいわ。
「・・・まぁな。つっても、お前らを捨てるわけじゃねぇからな?」
「・・・・・・」
「お前らの活躍を俺はいつでも見ている」
「・・・・・・」
「だから、そんな悲しそうな顔すんなって」
「・・・・・・俺・・・」
泣きそうな顔をして翡翠が口を開く。
「・・・俺・・・強く・・・なりました・・・・・・!」
「・・・分かってるよ。お前は強くなった。魔導を手に入れ、黒を使いこなしてる。俺は、お前に期待しているよ」
「・・・・・・必ず・・・必ずこの戦争を終わらせます・・・!そしたらまた・・・!お供させてください・・・!!」
「勿論だ。・・・また皆で馬鹿やろうぜ」
「・・・はいっ・・・!!・・・かしこまりました!」
そういって、俺は城から消える。
はー!歳は取りたくないですね。泣きそう。涙腺逝きそうなんですけど。
まだまだ先にしようと思ってたけど、他の眷属たちにも早く会いたくなっちまったな。
―――――
遅れてしまいました。
全面的にはたつばが悪ぅございます・・・引越し作業に手間取りまして・・・・・・引越社の皆さんとお茶してたらこんな時間に・・・!!
次から気を付けます(何度目かの正直)
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