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第一章 召喚されたからって勇者はしない
第七話 世界の基準
しおりを挟むぱぱっと創ったわりには完成度が高いと思う。洋風な二階建ての家。部屋は個室が六部屋あり、大きなリビングとキッチンは近くに設置している。今はまだ二人しかいないが、少しずつ埋まっていくのを妄想すると楽しかったりする。
さて、今夜の晩ご飯は豚から押収した食料達だ。
しかし!食料だけではない。きちっと料理もされております!!
俺は料理できないんだが、マリーが凄かった。プロも仰天のレベルであった。
マリーの料理レベル、それからこの世界の平均的なレベルやらを知りたかったので……
「突然だが、マリー。ステータス見ていいか?」
「本当に突然ですね……。御主人様なのですから許可なんて要りませんよ。少し待っててください。紙ってありますか?」
なるほど。主人にはそういう権限もあるのか……。
「いや、大丈夫だマリー。悪いが覗かせてもらうぞ」
俺には固有魔法『世界眼』がある。実はこの魔法MPを使わないのだ。俺の欠点である、MP1にも対応できる魔法だ。覗き見し放題。聞きたいことがあればなんでも答えてくれる。ありがとう世界眼。
そして、マリーのステータスは
名前 マリー Lv.28
種族 人族
職業 メイド
ステータス
HP 120
MP 200
〈固有魔法〉
メイドの嗜み 世界眼(劣化)
〈魔法〉
火魔法Lv.6 水魔法Lv.3 闇魔法Lv.3
〈スキル〉
料理Lv.8 裁縫Lv.8 掃除Lv.6 奉仕Lv.5 短剣Lv.4
〈耐性〉
無し
〈称号〉
元奴隷 化物のメイド 魔法メイド
これなのだが……。本当にこれが一般なのだろうか。明らかに高すぎやしないか?
〈マリーのステータスは異常です。楓様のメイドとなった事が原因かと思われます。
一般的には成人した農民がLv.10。貴族の者でLv.30。騎士がLv.50となります。他にも聖騎士部隊はLv.200。人間の頂点たる超越者達は個人差はありますが、Lv.2,000を超える者もいます。〉
お、おう。マリーがすごいのか、俺がすごいのか微妙なところだが……。
それよりも超越者って何者だい?俺よりも化物なんじゃないか?勇者いらないじゃん。
〈いいえ、勇者は必要です。聖騎士たちでは相手になりませんし、超越者達に関しては自由すぎます。寝ぼけて一国を滅ぼすこともよくありますし、世界から消えることもあります。魔王や、人族の危機には興味が無いようです〉
なにその自由集団。世界から消えるってなに。俺よりも化物やってんじゃん。
〈世界を壊しかけて、最高神に消される者。時空移動に失敗して、狭間に取り残された者。自ら世界から消えた者もいます。しかし、消えた者の全てがこの世界に帰ってきています。この中で楓様と渡り合えるのは一名おります。ですが楓様が負けることは無いと思われます〉
俺そんな化物に勝てますかね。最強の化物名乗るの恥ずかしくなってきたんですけど。
〈なにも問題ありません〉
あるよ。大分あるよ。一人勘違い程恥ずかしいものはないよ。
はぁ、もういいよ。世界眼、魔法やらスキルやらのレベルについて教えてくれないか?
〈かしこまりました。まず、魔法とスキルには1~10までのレベルが存在します。
Lv.1 素人 発動にもかなりの時間がかかる
Lv.2 駆け出し 発動はできる。一般人の限界
Lv.3 初級者 新人魔道師、新人騎士
Lv.4 中級者 魔道師、騎士の一般
Lv.5 上級者 国お抱えの宮廷魔道師や聖騎士レベル
Lv.6 王級 一国に一人程度しか生まれない天才
Lv.7 天災 力を使えば災害となり、争い合えば地形が変わることも
Lv.8 伝説 過去の伝承にある勇者が扱えた最高レベル
Lv.9 禁忌 世界に破滅を齎すとされる
Lv.10 神級 もはやとめれる者はいない。神でさえもお手上げ状態
といった具合になります。この世界で、戦闘系の神級スキル、魔法を持つのは二名います。超越者の一人と最古参の魔王です。〉
まてまて、戦闘系ではないがマリーが伝説級のスキルを手にしてるんだが!?どう考えてもおかしいだろ!
まさかとは思うが、これも俺が原因とかじゃねぇよな!?
〈その通りです。楓様の加護を受け、マリーのスキル、魔法のレベルは全て3上昇しております。それに上乗せする形で固有魔法『メイドの嗜み』により、家事系スキルのレベルが一つ上がっていますので、合計Lv.4分上がっています〉
じゃぁなにか?中級から一気に伝説級に上がったとでも!?とんでもないな俺!?迂闊に仲間増やせねぇじゃねぇか!!
「あのう……。御主人様?覗くとはいったい……」
覗くと宣言してからしばらく黙りこくってた俺を心配してか、マリーが俺の顔をのぞき込む。
「あ、あぁ。俺の固有魔法でな、相手のステータスを覗けるってのがあるんだ」
「鑑定能力ですか!?すごいです御主人様!まるで勇者様みたいですね!」
「そんなところだ。あまり他言するなよ?もし敵に手札を知られたりしたら面倒だしな」
勇者様みたい……か。俺巻きこまれた人なんですよね。正確には巻き込んだ側だが……。
この世界には鑑定なんていう力があるんだな。異世界ならではというか、テンプレ感満載というか。
「マリーは最近自分のステータスって見たか?」
この異常事態にマリーは気付いているのだろうか。いやまぁ、原因は俺なんだけどね。
「いえ、前に見たのは一ヶ月も前ですね。私のような非戦闘奴隷はレベルを気にしませんから」
「スキルレベルとか、魔法レベルとかは?」
「御主人様。スキルや魔法のレベルはめったに上がりませんよ。それこそ、一つレベルを上げるのに数年間毎日修業をしなければならないとか」
……言い出しにくい。俺が原因で、最低三つはレベルを上げてしまったことを。
「あ、あのなマリー。久しぶりにステータスを見てみたらどうだ?変化があるかもしれないぞ?」
ダメだ……!すごい思考誘導する気満々の人になってる。多分バレバレだよな……。俺の大根役者め!
「そうですね。御主人様がそういうのならば」
成功しちゃったよ……!!この子すごいな。天然なのか、従順なのか。微塵も疑わなかったぞ。詐欺とか引っかかりそうだな。
そして自分のステータスを見たのか、マリーが固まってしまった。「うぇ!?」というセリフを吐き捨てて。
マリーからそんな声が出るとは思わず、俺も少しの間固まった。おそろいだね。
ようやくマリーが再起動し、首をギギギと回して俺を見た。
「ごごごごご、ご、御主人様?こ、これは一体どうなってしまったのでしょうか……」
選択肢~
1,素直に話す(悪びれて)
2,素直に話す(ドヤ顔で自慢するかの如く)
3,無視する
4,ごり押しで駄女神のせいにする
俺に今出来るのはこのくらいか?一番納得してもらえそうなのは……1か4……だと思う。俺だけだろうか。
世界眼さん。俺がマリーに異常だと思われない為にはなにを選択すればいい?
〈手遅れです。〉
デスよね。くっ。俺では無理なのか……。
ん?ちょっと待てよ?なんで俺はマリーに気を使っているんだ?初めてのメイドだから?女の子だから?
あれ?俺は自分勝手で、嫌なことがあれば神すらも殺す暴君キャラのはず……。神殺しは事故だけど。
ならば……
5,俺だから
で済むじゃねぇか……!
よしいこう。俺は自分のしたいことをするのだ。この程度でいちいち悩んではいられないな。
「マリーそれはだな」
「なるほど、御主人様のおかげですか。『化物のメイド』という称号の効果のようですね!これくらいなければ御主人様にはついていけないということですか!」
「……」
マリー……なんて子……。俺が決意を固めたすぐあとに粉々に砕いてくるとは……。まさか一人合点するとは思わなかった。
……説明する手間が省けたと思えばいっか。あんまり考えても何ともならんしな。
「そういうことだ。これから俺のメイドとしてついてくるならばそれぐらいはなければな!」
「はい!御主人様!私もっと頑張りますね!!!」
「うむ。精進するのじゃぞ」
伝説級の料理スキルか。これからの食事は問題なさそうだな。日本基準で考えてしまうから、メシマズには耐えられないのだ。
〈楓様。不必要かもしれませんが、進言します。御自分のステータスを開いてみてはいかがでしょうか。盗賊討伐によりレベルも上がっておりますし〉
盗賊殺しただけでレベル上がるのか。俺はてっきり魔物とかだけだと思っていたが、そうではないらしいな。
ここは世界眼に従ってみるか。
ステータス
名前 黒田 楓 Lv.213
種族 化物
職業 学生
ステータス
HP 6,000,000
MP 1
〈固有魔法〉
世界眼
〈魔法〉
無し
〈スキル〉
隠密Lv.8 投擲Lv.7 脳天攻撃Lv.7
〈無効化・耐性〉
無効化(毒 電気 氷結 炎症 熱 誘惑 能力低下 奴隷化 即死)
耐性()
〈恩恵(不可視)〉
絶対 破壊 反射 重力操作 神威 疫病 変身 法則操作 創造 転移 血液操作 分解 再生 消去 守護 流星 肉体強化 ??? ??? ???
〈称号〉
異世界からの来訪者 最強 化け物 神殺し 神の謝罪を受けし者 勇者召喚に巻き込まれし者
〈従者〉
『伝説のメイド』マリー
隠密 発動中の気配、足音、匂いを軽減する。
投擲 投擲による攻撃の速度、威力に補正がかかる
脳天攻撃 発動中相手の脳天目がけて攻撃が飛んでゆく
ナニコレ……。
ついに化物として、認定されました。・・・まぁ、化物なんだけどね。
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