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第二十六話 居候勇者

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  勇者、確保いたしましたっ!
  ありがとうございます、ありがとーございます。

  報告を受けた僕と魔物二人は一足先にミアの街に戻ることとした。ドラゴンのいる方向から合流したら疑われるかもしれないからだってさ。

  それにしても、大きかったな~あの蜥蜴。
  異世界だからなのかな?トロルさんよりも全然大きかった。正直ビビったよ。気配を消してたとはいえ、気付かれないかどうか心配で足が震え続けてました。
  でも、蜥蜴って飛ぶんだね~僕驚いちゃったよ・・・異世界、恐るべし。

「さて、トロルさん、畑丸君、帰ろっか?」

――ウゴっ!
「はい。帰りマしょウ」


◇◆◇◆


「帰ったぞ~」

「夕ご飯作ってきます~」
「風呂行ってくるわ。いくぞ、ランルカ」
「あいさー!」
「ですのぉ~」
「お祈りに行ってきます」

  みんなが帰宅し、それぞれが自分の作業に戻っていく。
  帰ってきたみんなに「おかえりー」とだけ言って、僕は工房のある地下へ。そこに颯馬も入る。

  さて、報告を聞こうか?

「勇者は間違いなく引き込めた。師事するっつうめんどくせぇのが付いてきたが、概ね予想通りだ。勇者にこの屋敷の住所を教えてあるから、明日の朝にでも来るんじゃねぇかな?」

「そっかそっか。僕らが同郷だってのは?」

「適当に誤魔化しておいた。バレちゃいねぇよ」

  ふむふむ。

「とりあえず、さすが、と言っておくよ」

「そりゃどうも」

  しばらくは勇者に縛られる生活が続くだろうけど、そこは将来の自分の安全のため、割り切るしかない。

  僕の紹介は明日でいい。
  僕と同時にトロルさん、畑丸君を紹介しようと思う。二人共魔物にしては知性がかなりあるし、なにより強いからね。攻撃されたら仕返し受けた勇者が死んじゃう。

「さて、これから勇者をこの屋敷に招き入れるわけだが・・・・・・」

「何か問題が?」

「・・・簡単に言えば『科学』に問題あり、だ」

  ほお?分からん。
  懇切丁寧に一から説明してくれたまえよワトソンくん。

「誰がワトソンだ。お前がホームズになれる訳ねぇだろ。・・・技術力だよ。この屋敷だけ文明が進みすぎてるからな。日本から来た勇者なら俺達の存在をすぐに理解するだろう」

  ふーむ。
  地下に連れてくるのはもってのほか。調理器具や洗濯機、お風呂なんかは現代技術プラスアルファが入ってるから異世界人ってのは丸わかり・・・か。

「キアラやルシウスは薄々感づいてるから、仲間に隠す気はさらさら無いんだが・・・」 

  勇者はダメだね。
  高校生、それも普通の世界で生きてきた子が僕らの事情を考えて行動できるとは思えない。なんとしても隠し通さないとね。この国に居ずらくなるし。

「地下のロックはさらに厳重に。ほかの電化製品はなんとかこちらの文明に形を似せれないか?他の作業よりも優先して欲しい」

「・・・それは構わないけど・・・・・・徹夜しても明日の朝には間に合わないよ?」

「重々承知。キアラには申し訳ないが、向こうの世界製品は全て地下に隠して、改造でき次第家に配置していく。優先度はこちらで指示する」

「おっけ~やってあげよー」

  今日は徹夜だね。

「その代わり、明日の昼は寝させてもらうからね」

「了解した。キアラにも伝えておく」


◇◆◇◆


  真夜中。
  家の電化製品を見た目がこの時代に合うように改造している。颯馬は多少なら誤魔化せると言っていたので、僕も質より量をこなすよう動いている。

  そんな時、ふとお腹が鳴り、本能のままにキッチンへ。

  お腹が空いて真っ暗になった屋敷の中を早足で歩いていく。
  しかし、

「あれ?冷蔵庫が無い・・・」

  おかしいな・・・

  目がおかしくなったのだと思い、何度も目をこするが、そこに冷蔵庫が現れることは無かった。
  まさか、盗まれたのか?
  いやいや、そんな馬鹿な。僕が屋敷に取り付けている迎撃装置はそれなりに優秀だ。認めた人間しか入れないはず。

  僕は侵入者の存在を疑ったが、頭を振って即座に否定。泥棒は今頃蜂の巣のはずだ。地下にいたから銃声とかは聞こえなかったものの、僕もしくは颯馬に連絡がいくようになっているはずだからだ。
  うーん、と頭を捻っていると・・・・・・

「あ、冷蔵庫は今僕が改造してたっけ・・・」

  我ながらとてつもない馬鹿だった。

  そうだった。
  電気で動く物はすべて地下室に閉まっているんだった。・・・眠くて思考がままならなかっただけだと信じよう。

「ふー、さてさて。もういっちょ頑張りますかー!」

  冷蔵庫の場所がわかったので、ルンルン気分で地下へと向かう。キアラが夜食を入れといてくれたらしいから、それを食べるとしよう。

  と、思っていた時。

――・・・・・・て・・・だ・・・・・・さい・・・

  どこからか声が聞こえてきた。
  バッと振り返り、周囲を見渡す。これだけ広い屋敷。視線を感じると思い始めたらもう止まらない。幻聴、幻覚が僕の脳を支配していく。

  ・・・お、恐ろしや・・・。

――たす・・・て・・・だ・・・さい・・・

  ひいっ!?
  また聞こえてきたんですけど!?くわばらくわばら・・・!今すぐ地下室に行こう!僕を安心させておくれ、迎撃装置!


――ドンドンっ!

――たすけてくださいっ!


  次ははっきり聞こえてしまった。
  最悪だ!もうすぐ近くにいる!?いやぁ!メリーさん助けてぇ!


――いれ、入れてください!お願いします!助けてぇ!


  ・・・あれ?

  なんか、幽霊っぽくなくない?さっきから必死感が伝わってくるね。よくよく聞いてみれば、玄関の方から聞こえるし・・・いやでも、それもおかしいか?なにせ、僕の作った迎撃装置がある。人間ならば今頃蜂の巣だろう。
  まさか、死んだのに気づかずに僕らの屋敷にお邪魔しに来てるってことですかね!?

「誰かいませんか!?師匠!できればお屋敷に入れてはくれないでしょうか!?勇者です!正明です!」

  おや、幻聴が。

「お願いします開けてくださいっ!お金なくなってしまって!宿に泊まれないんですぅ!お願いします!師匠!開けてくだ・・・・・・

『うるさいです!寝させてくださいっ!』

――ドゴンッッ!

「あばばばばばば!!!!」

  雷が落ちた。
  あの声はキアラかな?日々の家事をこなしてくれているキアラには頭が上がらないので、文句を言う気はさらさら無いです。むしろありがとう、そしてさよなら、勇者くん。

  見捨てようと思ったけど、次の日勇者の死骸が屋敷前に落ちてるのも嫌なので、取り敢えず玄関扉を開ける。

「・・・あ、開いた・・・・・・」

  バタリ。

  キアラの雷がトドメをさしたのか、勇者は目的を達した安心感とともに力尽きた。

  生きてはいました。
  ですが、気絶してますね。寝るとこなんてないので、リビングのソファーにほっぽっておく。
  一応、メモ紙を勇者が起きた時に見える位置に置いておき、もう一つキアラがビックリしないよう、いつもキアラがリビングに入ってくるドアの外側に、メモを貼り付けておく。

  気遣いのデキる男はモテるらしいです。

  メモを書き残しておいて、今度こそ地下室へと向かう。お夜食も食べないと。もうお腹ペコペコやで・・・。


◇◆◇◆


  ふぁぁぁ・・・

  眠い。
  夜中のうちに電化製品の改造を終わらせて、日が昇ってきたことろに就寝。それから昼過ぎまで爆睡し、今起床したのだけれど・・・眠い眠い。

  でも、ここで二度寝するとお昼ご飯を食べ損ねるので、いやいや起きる。

「白金さん、おはようございます。お昼作っておきました。私はお買い物に行ってきますので食べちゃってくださいね」

「ありがとうキアラ・・・」

  キッチンに置かれていたチャーハンを持ってダイニングへ。
  ダイニングテーブルにチャーハンを置いたところで、スプーンを持ってきていないことに気付き、再びキッチンへ。

  キッチンから戻って、チャーハンを食べようと思って椅子に座ると・・・

「あれ?僕のチャーハンがない・・・」

  僕が顔を上げると、昨日の夜拾った勇者が




「なんで僕のチャーハンを食ってるんだよォォォォ!!!」

  


  殺すぞこの腐れ勇者っ!

  僕のチャーハンを食ったこと、万死に値する!死なせてやるぞこの野郎!


「あ、ご馳走様でした」


  よし、殺そう。
  僕は走って地下室まで行き、改造銃とレールガン、レーザー銃を手に持ってダイニングに戻る。
  勇者・・・絶対殺す。
  勇者の顔が見える位置に隠れ、改造銃を構える。テーブルごと吹き飛ばしてやる。

「死ね」

――ドパンっ!

「あぶねッ!」

  チッ、運のいい奴め。

「・・・なにしてんだ、お前?」

  弾丸を受け止めたのは颯馬だ。
  左腕の半分くらいを犠牲にして僕の弾丸を止めやがった。恐ろしいやつだ・・・。

  僕は無限収納にレールガン、改造銃、レーザー銃を隠し、勇者を睨みつける。

「そいつが僕のチャーハンを食いやがった・・・働いてすらない奴が無銭飲食なんて認められないよ。それも、他人のご飯を奪いやがった。許せない!」

  勇者と颯馬に向けて怒鳴る。
  食べ物の恨みは恐ろしいということを教えてやる!昨日の夜食は有難かったけど、それもおやつ程度のものだった。それからお腹が減ってもキュウリをボリボリと食べるしか無かった僕。昨日の夜から今の今まで僕の胃はまともな食事を欲していたっ!

  それなのにっ!

  この腐れ勇者は食いやがった!僕のチャーハンを食いやがったんだよォ!

「今すぐ道をあけろ!そこの勇者を蜂の巣にしてやるっ!」

  科学のバックアップを受けた今の僕に勝てると思うなよっ!?すぐにでもピチュンしてやるっ!

  キアラが帰ってこない以上僕がご飯を得られるのはだいぶ先。
  餓え死ぬっ!

「えっと・・・あの・・・すみませんでした・・・・・・」

「すみませんでことが済んだらこの世に機関銃なんて存在しないんだよォ!この王国ごと滅ぼしてやろォかァ!」

「ひっ!?」

  機関銃を無限収納から取り出し、設置。

「やめろバカ」

  痛いっ!
  殴られた!顔面を!僕のお餅よりも柔らかなほっぺたを殴りやがった!

「復讐したいなら別の方法でしろ」

  ・・・ちっ、わかったよ。

「命拾いしたね、クソ勇者」



「いや、止めてくださいよ師匠っ!?」



  生意気言ってんじゃねぇ・・・


◇◆◇◆


  僕の前には横倒れた勇者がいる。その勇者を足で蹴飛ばし、覚醒させる。

「はっ!?僕はいったい・・・」

  起きたところで眠気を覚ましてあげようとレーザー銃を勇者に向け放った。

「痛いっ!?」

  飛び上がった勇者に非殺傷のゴム弾(威力重視)を放つ。

「うぐっ!?わ、脇腹がぁぁ!」

  脇腹を抑えて苦しむ勇者に200キロピッチングマシンを使って硬式ボールを顔面にぶち当てる。

「非ぎゅっ!?」

  そしてまた、勇者は力尽きた。


「白金さん、夕飯できましたよ。たくさん作っちゃいました!」


  おお、女神よ。
  キアラ神は俺を見捨てていなかった。

「生きててよかったね、勇者。今日はもう許してあげよう」

  僕が今やっていたのは勇者の『特訓』だ。魔人や魔神と戦うならば動体視力や反射神経を鍛えるのも大切なこと。ゴム弾も避けられないようじゃ勇者としてダメダメだよね?

  さて、ご飯ご飯~。


  夕飯を食べている時に颯馬から聞いた話によると、勇者は今日から泊まりがけで修行するらしい。有り金全部颯馬に渡したせいで宿が取れなかったとか。
  勇者の修行は主に颯馬とルシウスがやり、たまに僕がストレス発散のために参加するくらい。騎士団長さんには颯馬が話を通してあるらしく、騎士団長さんいわく「強くなって帰還すれば問題は無い」だそう。

  帰還すれば問題ない。

  つまり、生きてさえいれば何をしてもいいってことだよね?
  定期的に僕も遊んであげようか。新作武器の実験とかも颯馬しか相手がいなくて大変だったし。

  くっくっく。

  楽しいねぇ。勇者いじりも悪くない。
  日本にいた頃も似たようなことをした気がしないでもないけど・・・ま、気にしない気にしない。






――――――


はたつばです。

容赦なし!・・・ですね!

そういえば、勇者の師匠って大体死にますよね。颯馬さん大丈夫か・・・?
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