【完結】秘め事

あい

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にじゅういち

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「どうしたの?」
「あ。ううん!」

智子に気づかれた!?
離してよ~!
手にばかり気を取られてしまう。

「橋本さんって確か上原さんと付き合いだしたんだよね?」
「智子情報通だね~。」
「ま~ね!庄司さんの情報も握ってますよ~!」
「え?」
「この前営業の子に告白されてましたよね!?」
「え、あ~参ったなぁ。」
「付き合ってるんですか?」
「いや。お断りさせてもらったよ。」
「じゃ~今彼女さんは!?」
「いないよ!まぁ狙ってる子はいるけど!」
「きゃ~!だれだれ!営業のエースの狙ってる子ってどんな子よ~!?」
「あはは。」

それって。まさか…。まさかね。

「里中君は?」
「え?」
「彼女いるの?」

智子~里中君にふらないでよ~!!

「いますよ。」
「きゃ~!いるんだぁ!!」
「ちょっと智子騒ぎすぎ。」

ま、まさかここで言ったりしないよね!?

「だって~!えっどんな子?」
「すぐ強がるけど実は弱かったり。照れてる所が可愛かったり。」
「…。」

何も言えない。恥ずかしすぎる。

「いやぁ~いいね~!やっぱり実はガツガツ系だったかぁ~!」
「なんですかそれ?」
「なんでもないこっちの話!彩音は潤いは得たの?」
「潤いって?」
「彩音もうかれこれ5年ぐらい彼氏いなくって~。」
「そうなの?」
「枯れちゃいそうなんです。だから彩音に潤いを与えてあげて下さい!」
「も~智子やめてよ~。」
「あれ?そういえば彩音の好きなタイプってどんなんだっけ?皆に言っておいたら紹介してもらえるかもよ!?」
「え。あ~いいよそんなの~。」
「加藤さんのタイプ俺も聞いてみたいです。」
「えっ。」

里中君のバカ。
完全に面白がってる。
里中君に言われるのも恥ずかしいけど。
里中君のこと言うのは皆の前で告白してるみたいでもっと恥ずかしい。

「えっと。なんだろ?あんまりタイプとかって考えたことないかも?」
「でもなんかあるでしょ~!優しい人とか面白い人とか!」
「ん~。なんか言葉で言えない。」
「も~なにそれ~!」
「でも俺なんかちょっとそれ分かる気がする。」
「え?」
「優しい子が好きとかそういうのはあるけど。そういうのとは違う。ぎゅってしたいとか。隣にいれるだけで嬉しいとか。タイプっていうのとは違うけどその子にだけ感じる感情っていうか。」
「そ、そうです!そんな感じです!」
「あは!彩音ってば興奮しすぎ~。」
「だって~なんか上手く言えなくて。でも庄司さんが代弁してくれてすっきりしたなぁって。」
「俺がまさに今そんな感情の中にいるからさ。」
「も~庄司さんにそんな風に思ってもらえるなんてホントその子羨ましい!!ね!彩音!?」
「へ?あ、そ、そうだね!」

私は里中君にそういう感情を抱いている。
庄司さんが言っている相手がもしも私だったら…。

「わ、私ちょっとお手洗いに。ちょっと通してもらっていい?」
「じゃ~俺もついでに行っとこう。」
「いってらっしゃ~い!」

顔が熱い。

「彩音。」
「…ちょっと待って。恥ずかしすぎる。」
「ぎゅってしたいの?」
「…。」
「隣にいたいの?」
「も、も~ホントやめて!」
「ふっ。可愛すぎ。このまま二人で帰っちゃいたい。」
「と、トイレ行ってくる!」

ダメだ。
どっちが年上か分からない。
いつも主導権を握られてしまう。
心を捕まれてしまう。
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