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じゅうはち
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「もしもし?彩音?」
「里中君…。おはよ。」
「まだ寝てた?」
「ううん。起きてたよ。」
「なんか寝起きの声してる。」
「そうかなぁ?」
涙をふきながら慌てて電話に出る。
電話越しの里中君の声が気のせいかいつもより明るい気がする。
昨日あの後どうなったのか。
気になるけれど聞く勇気がない。
「これから会えたりする?」
「…。」
会いたいけど果たして平静を装って会えるだろうか。
「彩音?」
「あ。うん。」
「じゃ~下に降りてきて!」
「え?」
「もう家の前まで来てるから!」
「うそ!?」
「ホント!じゃ!」
これじゃぁ断ることも出来なかったじゃん。
と言いながらもちょっとしたサプライズに顔がにやけてしまう。
昨日のこと…考えるのやめよう。
目の前の幸せを信じよう。
「お待たせ!」
「おう!」
「も~ビックリした!」
「あはは。ビックリさせたかったから大成功!」
「もぉ~!」
「とりあえず一回抱き締めていい?」
「きゃっ。」
なんの抱擁?
分からないけど素直に嬉しい。
「ひ、人目。恥ずかしいよぉ。」
「…。」
「里中君?」
「あぁ~も~負けたぁ~。」
「ん?」
「いつも休みの日誘うの俺からだから。今回こそは待ってるって決めてたのに無理だったぁ。」
「なにそれ~?」
「なんか俺ばっか好きみたいで悔しいから。」
「そんな。」
里中君。そんな風に思ってたなんて。
「いこっか。」
「うん!」
もやもやしていた気持ちが晴れて。
つないでる手をよりぎゅっとしたくなる。
「ん?」
「なんでもない!」
里中君のこと信じよう。
「これとか彩音似合いそう!」
「ど~?」
「可愛い可愛い!」
可愛いなんて言ってもらえるような年でもないし。
言われたこともほとんどないからくすぐったい。
「じゃ~その帽子かして。買ってくる!」
「え?」
「これかぶって魚釣り行こう!」
「魚釣り?」
「前彩音行きたいって言ってたから。待ってて!」
魚釣り…。
あ。そうだった。
あの時。
エサに飢えた魚だった時。
釣った魚にはエサをやらないタイプなのかと危うく聞きそうになって思わず魚釣りに行きたいなんて言ったんだった。
すっかり忘れていた。
あんなぽろっと言ったことを覚えててくれてたなんて。
「あ!彩音引いてる引いてる!」
「え!あ!ホントだ!」
「すごいすごい!」
「きゃ!釣れた!でもこれどうしたらいいの!?」
「あはは。テンパりすぎ。」
「だってぇ。」
里中君なんだか今日はよく笑うなぁ。
いつもはなんとなく年の割に落ち着いていてクールなイメージなのに。
もちろんどっちの里中君も好きだけど。
なんだろ?
何か気になる。
これもやっぱり昨日の合コンが関係してる?
あの子が関係してる?
「ねぇ。」
「ん?」
「昨日の飲み会って。どうだった?」
思わず聞いてしまった。
信じるってさっき決めたばっかりなのに。
「普通に楽しかったよ?」
「誰と飲んでたんだっけ?」
「昨日は同期と。」
「そっか。」
「なんで?」
実は同じ店で見てて合コンみたいでやだった。
なんて言えるわけない。
「あ。ううん。同期の子とはなかいいの?」
「わりとなかいいほうだとは思うけど。」
「横のつながりも大事だもんね。」
「彩音だって昨日同期の智子さんと飲んでたんでしょ?」
「あ。うん。」
智子のこと智子さんって名前で呼ぶんだ。
私だって名前で呼ばれるようになったの最近なのに。
「どうしたの?」
「なんでもない。」
智子にも同期の子にも美月ちゃんにも沸き起こるこの感情。
この感情の名前知ってる。
嫉妬だ。焼きもちだ。
爽やかな川原での魚釣りデートには合わないような黒い気持ちが生まれていく。
「里中君…。おはよ。」
「まだ寝てた?」
「ううん。起きてたよ。」
「なんか寝起きの声してる。」
「そうかなぁ?」
涙をふきながら慌てて電話に出る。
電話越しの里中君の声が気のせいかいつもより明るい気がする。
昨日あの後どうなったのか。
気になるけれど聞く勇気がない。
「これから会えたりする?」
「…。」
会いたいけど果たして平静を装って会えるだろうか。
「彩音?」
「あ。うん。」
「じゃ~下に降りてきて!」
「え?」
「もう家の前まで来てるから!」
「うそ!?」
「ホント!じゃ!」
これじゃぁ断ることも出来なかったじゃん。
と言いながらもちょっとしたサプライズに顔がにやけてしまう。
昨日のこと…考えるのやめよう。
目の前の幸せを信じよう。
「お待たせ!」
「おう!」
「も~ビックリした!」
「あはは。ビックリさせたかったから大成功!」
「もぉ~!」
「とりあえず一回抱き締めていい?」
「きゃっ。」
なんの抱擁?
分からないけど素直に嬉しい。
「ひ、人目。恥ずかしいよぉ。」
「…。」
「里中君?」
「あぁ~も~負けたぁ~。」
「ん?」
「いつも休みの日誘うの俺からだから。今回こそは待ってるって決めてたのに無理だったぁ。」
「なにそれ~?」
「なんか俺ばっか好きみたいで悔しいから。」
「そんな。」
里中君。そんな風に思ってたなんて。
「いこっか。」
「うん!」
もやもやしていた気持ちが晴れて。
つないでる手をよりぎゅっとしたくなる。
「ん?」
「なんでもない!」
里中君のこと信じよう。
「これとか彩音似合いそう!」
「ど~?」
「可愛い可愛い!」
可愛いなんて言ってもらえるような年でもないし。
言われたこともほとんどないからくすぐったい。
「じゃ~その帽子かして。買ってくる!」
「え?」
「これかぶって魚釣り行こう!」
「魚釣り?」
「前彩音行きたいって言ってたから。待ってて!」
魚釣り…。
あ。そうだった。
あの時。
エサに飢えた魚だった時。
釣った魚にはエサをやらないタイプなのかと危うく聞きそうになって思わず魚釣りに行きたいなんて言ったんだった。
すっかり忘れていた。
あんなぽろっと言ったことを覚えててくれてたなんて。
「あ!彩音引いてる引いてる!」
「え!あ!ホントだ!」
「すごいすごい!」
「きゃ!釣れた!でもこれどうしたらいいの!?」
「あはは。テンパりすぎ。」
「だってぇ。」
里中君なんだか今日はよく笑うなぁ。
いつもはなんとなく年の割に落ち着いていてクールなイメージなのに。
もちろんどっちの里中君も好きだけど。
なんだろ?
何か気になる。
これもやっぱり昨日の合コンが関係してる?
あの子が関係してる?
「ねぇ。」
「ん?」
「昨日の飲み会って。どうだった?」
思わず聞いてしまった。
信じるってさっき決めたばっかりなのに。
「普通に楽しかったよ?」
「誰と飲んでたんだっけ?」
「昨日は同期と。」
「そっか。」
「なんで?」
実は同じ店で見てて合コンみたいでやだった。
なんて言えるわけない。
「あ。ううん。同期の子とはなかいいの?」
「わりとなかいいほうだとは思うけど。」
「横のつながりも大事だもんね。」
「彩音だって昨日同期の智子さんと飲んでたんでしょ?」
「あ。うん。」
智子のこと智子さんって名前で呼ぶんだ。
私だって名前で呼ばれるようになったの最近なのに。
「どうしたの?」
「なんでもない。」
智子にも同期の子にも美月ちゃんにも沸き起こるこの感情。
この感情の名前知ってる。
嫉妬だ。焼きもちだ。
爽やかな川原での魚釣りデートには合わないような黒い気持ちが生まれていく。
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