【完結】秘め事

あい

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じゅうさん

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なんであんなことをしてしまったのだろう。
いくら要求されたからって。
恥ずかしすぎる。
今更ながら後悔の波が押し寄せてくる。
顔が熱い。

「彩音ちゃんこっち~!」
「橋本さん。遅くなってすみません。」
「全然!」
「…あの。」
「…初めまして。同期で営業の庄司です!」

営業の庄司さん。どこかで聞いたことあるような?
あ。この前智子が言ってた人だ。

「橋本さんと同じ総務の加藤です。」
「座って座って!」
「え?でもいいんですか?」
「もちろん!」
「なんかお邪魔しちゃってすみません。」
「何飲む?」
「烏龍茶で。」
「え?お酒は?」
「私弱くって。」
「一杯ぐらいはど?」
「…じゃぁ。一杯だけ。」

てっきり上原さんのことで橋本さんと二人でお食事かと思っていたから少しびっくり。
それでも初対面なのに話が自然と弾むのは庄司さんも橋本さんと同じくスマートで大人の男の人だからなのか。
庄司さんは橋本さんを少し真面目にした感じで爽やかで。
智子が言っていたみたいに確かに人気ありそう。

「あ、ごめん。ちょっと仕事の電話。」
「おう。」
「営業さんってこんな時間までお仕事の電話なんて大変ですね。」
「だな。俺も仮配属の時営業だったけど総務になって良かったわぁ~。あはは!」
「あ、あの。上原さんと何かありました?」
「え?」
「今日ってその話じゃ?」
「あ~違う違う!」
「そうなんですか?」
「みほ。あ、上原さんとは順調!」

それは何よりです。
てっきり上原さんとのことの相談だと思ってたけど。
違ったってこと?

「庄司ど~?」
「え?」
「あいつすっげ~いいやつでさ!彩音ちゃんといいと思うんだよね!」
「え!!」
「ほら、俺も彩音ちゃんのお陰で上手くいってるし。彩音ちゃんにも幸せになって欲しいなって!今日は二人を合わせたくて!」
「あ、えっと。」

どうしよう。
そういう会だったの?
橋本さんがそんなこと考えてたなんてちっとも知らなかったから。

「電話ごめんね!」
「いえ!」
「営業期待の星だもんな!」
「そんなんじゃ。」
「こいつ新入社員の時からエースだから!」
「やめろって!」
「あはは。お二人なかいいんですね!」
「まぁな!あ。みほついたみたい。じゃ!俺行くわ!」
「え?」
「おう!じゃ~な!」

え?え?
どういうこと?

「ホントあいつみほちゃんと付き合ってから変わったわ。彩音ちゃんありがとね。」
「いえ、あたしは何も。」
「彩音ちゃんのお陰でっていっつも言ってる。」
「そんなそんな。」
「次何飲む?これ今月の限定だって!彩音ちゃん好きそうじゃない?」
「あ、じゃぁそれにします!」

一杯だけって思ってたのに。
橋本さんに上原さんのこと相談されるって思ってたのに。
色々と思ってたのと違う。
それでもその後の2時間近くがあっという間に感じたということは楽しい時間だったということ。
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