【完結】秘め事

ご

「えっ。いや。私はいいですよ！せっかくなんで二人で！」
「けど初対面でいきなり二人はさ～。上原さんもやだろうし。ね！彩音ちゃんお願い！」
「…わかりました。最初だけいますね。頃合い見て帰りますので。」
「ありがとう！やっぱり彩音ちゃんに頼んで良かった！」

あの日。
少しだけ橋本さんとの恋に期待をしながら向かったご飯会で。
まさかの展開。
そしていつの間にかキューピッド的ポジションに。
やっぱり智子の言う通り私には男の人を見る目がないのかも…。

橋本さんなら絶対最初から一対一で大丈夫なのに。
ほらやっぱり。
完全に私必要ない余り物じゃないですかぁ。
余り物は帰りますよ～。
あの二人上手くいくんだろうなぁ。
はぁ～。

「ご飯会もう終わり？」
「さ、里中君！」
「早くない？」
「早々にいい感じになってたから後はお二人でと思って。」
「へ～。」
「里中君は残業？」
「まぁ。」
「お疲れ様。」
「ご飯食べた？」
「え？あ～ま～。」
「俺腹減ったから付き合って。」

さっきのお店ではほとんど食べずにフェイドアウトしてきちゃったから。
お腹はすいてる。
でも里中君とっていうのが…。
やっぱりやめておこう。

「ごめん。今日は先帰るね！お疲れ様。」
「いいから行こう。」

帰ろうとしたら腕を捕まれ強制連行。

「いやいや全然よくないから。今日は帰るから。ぐぅ～。」

バカ！なんでこのタイミングでお腹鳴るのよ！

「はい。行くよ。」

なんでこうなるかなぁ。
関わらないようにしてるのに。
とにかく今日の帰りは絶対うちにはよらせない！！

って厳重警戒していたら。
あっさりとそのまま電車も降りずに帰っていった。
も～なによ！！
いや。これが普通。いいんだよこれで。
橋本さんは上原さんと。
里中君は美月ちゃんと。
枯れ女のことは誰も相手しない。
そんなの分かってること。
分かってることなのにこんなに寂しいのは。
人肌恋しい季節になってきたからかな。