2 / 26
に
しおりを挟む
一日。また一日と過ぎていき。
あの日から一週間以上経つ。
頭の中で何度あのシーンをリピートしただろう。
こっちはこんなにかきみだされているのに。
里中君は何もなかったかのよう。
何一つ変わった様子がない。
もしかして酔っていないつもりが酔ってしまっていたのか?
夢だったのか?
…それにしては感触がリアル過ぎ。
「彩音ちゃんここ直しておいて!」
「す、すみません!」
動揺しているのか珍しくミス。
なんでもそつなくこなすはずなのに。
こんなミスするなんて。
あの時のことは忘れよう。
向こうもそのつもりみたいだし。
「はぁ~今日は遅くなっちゃったね~!」
「お疲れ様でした。」
「あ!彩音ちゃん送っていこうか!?」
「橋本さん!魂胆みえみえですよ~!」
「彩音ちゃん気をつけて!」
「あ、はい!」
結局駅まで皆で一緒に。
そして。
あれ。こっち方面誰もいなかったっけ?
まずい。里中君と二人きり。
この前のことが嫌でも思い出される。
結局あれはなんだったのかわからないままだけど。
二の舞にならないようにしなきゃ。
「…じゃ~また明日。お疲れ様。」
今日はちゃんと一人で降りたはずだったのに。
「ちょ、里中君!?」
なんで!?
いつの間にか降りてる。
ドアも閉まり電車が去っていく。
「遅いし家まで送る。」
「ここで大丈夫だよ。里中君も遅くなっちゃうし。明日も早いし。えっ。ちょ、ちょっと待ってよ!」
私の言うことを完全に無視してスタスタ歩きだす。
家も前回ので分かってるからドンドン進んで止まらない。
やっと横断歩道の赤信号で止まった。
家に着くまでの間に断る最後のチャンス。
「ね。里中君。」
「もしかしてこの前のこと意識してる?」
「え?」
そりゃ~そうに決まってる!
っでもちょっと待って。
そんなこと言ったら…なんにも感じてない里中君に対して私だけ意識してるみたいで悔しい。
「だから避けてる?」
「そ、そんなことないけど。」
年上の大人の女性としてもあのことで動揺してるなんて思われたくない。
信号が青に変わって進みだす。
もう進むしかない。
身長差のせいかスタスタ歩く里中君と歩幅が合わない。
なんで私があわせているのか。
少し息が荒くなる。
「…送ってくれてありがとう。気をつけて帰ってね。」
「部屋入んないの?」
「入る入る。じゃ~ね。」
鍵を開けて入ろうとしたら。
しまった!
最後まで見送るべきだった。
「ガードゆるすぎ。」
ドアがしまる間際に入ってきてまた同じ体制に。
二回目の壁ドン。
大丈夫。同じ手にはのらない。
迫ってきた唇を顔を背けて避ける。
よし。勝った。
なんの勝負だかわからないけど勝った。
“ちゅっ”
「きゃ。」
…勝ててない。
反らしたつもりが無防備になった首筋にチャンスを与えてしまっていた。
里中君はふっと笑ってキスを続ける。
耳や首筋は唇よりも更に身体に直結する。
「んっ。あん。」
また変な声を出してしまった。
恥ずかしさでふと我に返る。
「さ、里中君!」
「…。」
「この前のもそうだけど。こういうのってよくないと思う。」
必死に一定の距離をとる。
「なんで?」
「な、なんでって。こういうのはちゃんと彼女と。」
「じゃ~彼女になって。」
「え!?」
「ふっ。」
「ちょ、ちょっとからかわないでよ!」
ダメ。なんでか分からないし納得いかないけどこの年下男子に対して私劣性だ。
「普段仕事では演じて一線置いてるくせに。」
「な、なに?」
「こういう事には余裕ないんだ。」
う。図星。
でもこのままひるむわけにはいかない。
このまま経験の少なさを見破られるわけにもいかない。
「里中君とはこういうこと考えられないの。ごめんね。」
挑発には乗らない。さらりとかわす。
それが大人の女。
あの日から一週間以上経つ。
頭の中で何度あのシーンをリピートしただろう。
こっちはこんなにかきみだされているのに。
里中君は何もなかったかのよう。
何一つ変わった様子がない。
もしかして酔っていないつもりが酔ってしまっていたのか?
夢だったのか?
…それにしては感触がリアル過ぎ。
「彩音ちゃんここ直しておいて!」
「す、すみません!」
動揺しているのか珍しくミス。
なんでもそつなくこなすはずなのに。
こんなミスするなんて。
あの時のことは忘れよう。
向こうもそのつもりみたいだし。
「はぁ~今日は遅くなっちゃったね~!」
「お疲れ様でした。」
「あ!彩音ちゃん送っていこうか!?」
「橋本さん!魂胆みえみえですよ~!」
「彩音ちゃん気をつけて!」
「あ、はい!」
結局駅まで皆で一緒に。
そして。
あれ。こっち方面誰もいなかったっけ?
まずい。里中君と二人きり。
この前のことが嫌でも思い出される。
結局あれはなんだったのかわからないままだけど。
二の舞にならないようにしなきゃ。
「…じゃ~また明日。お疲れ様。」
今日はちゃんと一人で降りたはずだったのに。
「ちょ、里中君!?」
なんで!?
いつの間にか降りてる。
ドアも閉まり電車が去っていく。
「遅いし家まで送る。」
「ここで大丈夫だよ。里中君も遅くなっちゃうし。明日も早いし。えっ。ちょ、ちょっと待ってよ!」
私の言うことを完全に無視してスタスタ歩きだす。
家も前回ので分かってるからドンドン進んで止まらない。
やっと横断歩道の赤信号で止まった。
家に着くまでの間に断る最後のチャンス。
「ね。里中君。」
「もしかしてこの前のこと意識してる?」
「え?」
そりゃ~そうに決まってる!
っでもちょっと待って。
そんなこと言ったら…なんにも感じてない里中君に対して私だけ意識してるみたいで悔しい。
「だから避けてる?」
「そ、そんなことないけど。」
年上の大人の女性としてもあのことで動揺してるなんて思われたくない。
信号が青に変わって進みだす。
もう進むしかない。
身長差のせいかスタスタ歩く里中君と歩幅が合わない。
なんで私があわせているのか。
少し息が荒くなる。
「…送ってくれてありがとう。気をつけて帰ってね。」
「部屋入んないの?」
「入る入る。じゃ~ね。」
鍵を開けて入ろうとしたら。
しまった!
最後まで見送るべきだった。
「ガードゆるすぎ。」
ドアがしまる間際に入ってきてまた同じ体制に。
二回目の壁ドン。
大丈夫。同じ手にはのらない。
迫ってきた唇を顔を背けて避ける。
よし。勝った。
なんの勝負だかわからないけど勝った。
“ちゅっ”
「きゃ。」
…勝ててない。
反らしたつもりが無防備になった首筋にチャンスを与えてしまっていた。
里中君はふっと笑ってキスを続ける。
耳や首筋は唇よりも更に身体に直結する。
「んっ。あん。」
また変な声を出してしまった。
恥ずかしさでふと我に返る。
「さ、里中君!」
「…。」
「この前のもそうだけど。こういうのってよくないと思う。」
必死に一定の距離をとる。
「なんで?」
「な、なんでって。こういうのはちゃんと彼女と。」
「じゃ~彼女になって。」
「え!?」
「ふっ。」
「ちょ、ちょっとからかわないでよ!」
ダメ。なんでか分からないし納得いかないけどこの年下男子に対して私劣性だ。
「普段仕事では演じて一線置いてるくせに。」
「な、なに?」
「こういう事には余裕ないんだ。」
う。図星。
でもこのままひるむわけにはいかない。
このまま経験の少なさを見破られるわけにもいかない。
「里中君とはこういうこと考えられないの。ごめんね。」
挑発には乗らない。さらりとかわす。
それが大人の女。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【完結】お願い その手で私を
あい
恋愛
どこのパーツよりも手が大好き。
そんな手フェチの奈美が恋をした相手はもちろん。
理想的な手の持ち主。
手から始まり、過去と未来との恋を結ぶ物語になっています。
少女漫画好きの初心者が描いている漫画風小説です。
温かく見守って頂けると嬉しいです。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる