【完結】お願い その手で私を

あい

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捕まれた腕

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あまりにも平和に時間が過ぎていくと平和ぼけしてしまうみたいで。
その幸せがずっと続くと思ってしまっていて。
突然起こる予期せぬ出来事を受け止めきれなくなってしまう。
なんで?
なんで…。

「奈美さんは知ってました?」
「え?」
「拓海くんの教育係ですし知ってましたよね?」
「えっ。あ。わたしは。」
「あ~すっごいショックなんですけど~やっぱり噂ホントなんですかね?」
「ど、どうだろうね?」
「友達もピュアレルの榊さんと拓海くんが一緒にいるところみたって言ってたし~!」
「仕事でのお付き合いとかじゃない?」
「えぇ~仕事での付き合いでホテルから出てきたりします~?」
「ほ、ホテル!?」
「そうですよ~も~ショックなんですけど~!」

ピュアレルの榊さんってゆかりちゃんのことだよね?
ホテルから出てきたって…。
ついこの前ゆかりちゃんとは恋愛関係にないって聞いたばかりなのに。
どうして…。

「藤枝さん。藤枝さん?」
「あ。高田さん。」
「大丈夫?」
「え?」
「…ちょっと付き合ってよ。部長ちょっと席はずします。」
「は~い。」

なんだろ急に。

「あの?」
「とりあえず風にあたって気分転換!」
「はい。」
「…紺野のこと。」
「…。」
「噂聞いた。」
「…大丈夫!さおりちゃんとは恋愛関係じゃないって言ってたから。」
「奈美…。」
「だいしょ。う。ぶ。」

どうしよう。
泣くつもりなんてなかったのに。
涙が自然と出てきてしまう。

“ぎゅ”

篤人さんに抱きしめられてしまった。

「ご、ごめん。大丈夫だから。」

慌てて離れようとするけど。

「全然大丈夫じゃないじゃん。」 

また引き寄せられる。

「ホントにホントに大丈夫だから!!」

強く言い放って逃げてしまった。
心配してくれているのは分かってる。
でも。

「奈美さん!」

紺野君!
なんでこんな時に。
夕方まで外出のはずなのに。

「あれ?戻り早いね!」
「早めに終わって今戻ってきたら奈美さんの姿が見えたので…って。え?もしかして泣いてました?」
「えっ。ううん!ちょっと今目にゴミ入っちゃって。でももう大丈夫!」
「…奈美さん。」
「ん?」
「こっち見て。」
「こ、ここ会社前だし。ね。もう大丈夫だし行こう!」
「ちょっと待って。」

そういって腕をぎゅっと捕まれて。いつものランチの穴場スポットにまで連れてこられたの。
どうしよう。
今拓海くんと二人きりになりたくない。
捕まれた腕よりも胸がぎゅと締め付けられて痛い。
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