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腕の中にずっと
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もう頭の中真っ白。
というより真っ黒。
賑やかなカフェにいるはずなのに何も音も感じない。
聞こえるのは自分のひどい泣き声だけ。
ご実家で。ゆかりちゃんと。今後のことって。
今後のことって。
どういうこと?
そういうこと?
「奈美。奈美!奈美!?」
「さ、さっちゃん。」
「あたし泊まっていこうか?」
「へ?」
いつの間にか自分の家にいる。
「やっぱりこのまま帰るの心配だよ。」
「あ。大丈夫大丈夫!ごめんね心配かけちゃって。」
「とにかく一度ちゃんと話しなよ?」
「あ。うん!そうしてみるね。ありがとうね!」
「じゃぁ。何かあったらすぐかけつけるから言ってよ!」
「うん。」
「またね!」
“TLLL”
その後何回か拓海くんから着信があったけど。
電話に出られるような状態じゃなくて。
携帯の名前の表示を見るだけで泣けてくるのに。
声なんて聞いたら…。
“ピピピピ”
ん。
朝。
頭痛い。
身体もダルい。
完全に会社に行くこと拓海くんに会うことを身体が拒否してる。
「すみません。体調悪くてお休みさせて下さい。」
「大丈夫?ホントに具合悪そうな声。」
「はい。あ。先日の出張先のまとめたものは。」
「いいよいいよ。いそぎじゃなくて大丈夫でしょ?」
「あ。はい。」
「とにかくゆっくり休んで。お大事にね。」
「すみません…。」
こんなことで会社を休むなんて。
社会人失格だ。
分かっているのに身体が動かない。
頭が割れそうに痛い。
“ピンポン”
「はぃ。えっ拓海くん!?」
「体調大丈夫ですか?」
「…。」
「奈美さん?」
「ぎゅってして欲しい。」
“ぎゅっ”
もっと強く抱き締めて欲しい。
この腕の中にずっといたい。
「もう一回ぎゅってして。」
離さないで。
どこにもいかないで。
「奈美さんがこんな風に甘えてくれるの珍しいですね。嬉しい。」
「…聞きたいことがあるの。」
「なんですか?」
「ゆかりちゃんと。ゆかりちゃんとはどういう関係なの?」
「ゆかりと?」
「昨日拓海君に電話したらゆかりちゃんが出て。」
「えっ?」
「一緒にご実家に行って。今後のこと話すって。どういうこと?」
「ゆかりはコスメ系の会社企業してて。今後うちの会社もコスメ部門にも力をいれていこうとしていてそれで昨日話してました。」
「え?」
「まだうちうちの話ですけど。」
「そ、そうだったんだ。」
ビジネスの今後の話ってこと?
ホントにそれだけ?
「奈美さんが聞きたいのはそれだけじゃないですよね?」
「…。」
「ゆかりとはニューヨークで一緒になって。あの頃俺。早く大人になりたくて。大学も飛び級してとにかく必死で。もがいてて。よく気晴らしに付き合ってくれたりしていました。」
「…。」
「けど。これだけは言えます。一度もゆかりに恋愛感情はいだいたことはありません。」
「え。」
「奈美さんそのこと気にしてるかなってずっと気になってて。」
「うん。」
「こんなこと言うつもりじゃなかったですけど。とにかく奈美さんに並びたかったんです。」
「どういうこと?」
「早く一人前になって奈美さんに恋愛対象としてみてもらえるようになりたくて。もちろんまた出会えるかなんてわからなかったですけど。」
「…。」
「だから会社で再会した時はホントに運命というか奇跡というか。ビックリし過ぎて舞い上がっちゃいました。」
「拓海くん。」
「でも奈美さんは全然俺のこと覚えてなさそうでしたけどね。」
「そんなことないよ。」
「え?」
「覚えてた。でも名前も経歴も合わないから確信がもてなくて。忘れられるわけないもん。」
「奈美さん。」
勇気だして聞いて良かった。
これからもずっとこうして拓海君の腕の中にいたい。
というより真っ黒。
賑やかなカフェにいるはずなのに何も音も感じない。
聞こえるのは自分のひどい泣き声だけ。
ご実家で。ゆかりちゃんと。今後のことって。
今後のことって。
どういうこと?
そういうこと?
「奈美。奈美!奈美!?」
「さ、さっちゃん。」
「あたし泊まっていこうか?」
「へ?」
いつの間にか自分の家にいる。
「やっぱりこのまま帰るの心配だよ。」
「あ。大丈夫大丈夫!ごめんね心配かけちゃって。」
「とにかく一度ちゃんと話しなよ?」
「あ。うん!そうしてみるね。ありがとうね!」
「じゃぁ。何かあったらすぐかけつけるから言ってよ!」
「うん。」
「またね!」
“TLLL”
その後何回か拓海くんから着信があったけど。
電話に出られるような状態じゃなくて。
携帯の名前の表示を見るだけで泣けてくるのに。
声なんて聞いたら…。
“ピピピピ”
ん。
朝。
頭痛い。
身体もダルい。
完全に会社に行くこと拓海くんに会うことを身体が拒否してる。
「すみません。体調悪くてお休みさせて下さい。」
「大丈夫?ホントに具合悪そうな声。」
「はい。あ。先日の出張先のまとめたものは。」
「いいよいいよ。いそぎじゃなくて大丈夫でしょ?」
「あ。はい。」
「とにかくゆっくり休んで。お大事にね。」
「すみません…。」
こんなことで会社を休むなんて。
社会人失格だ。
分かっているのに身体が動かない。
頭が割れそうに痛い。
“ピンポン”
「はぃ。えっ拓海くん!?」
「体調大丈夫ですか?」
「…。」
「奈美さん?」
「ぎゅってして欲しい。」
“ぎゅっ”
もっと強く抱き締めて欲しい。
この腕の中にずっといたい。
「もう一回ぎゅってして。」
離さないで。
どこにもいかないで。
「奈美さんがこんな風に甘えてくれるの珍しいですね。嬉しい。」
「…聞きたいことがあるの。」
「なんですか?」
「ゆかりちゃんと。ゆかりちゃんとはどういう関係なの?」
「ゆかりと?」
「昨日拓海君に電話したらゆかりちゃんが出て。」
「えっ?」
「一緒にご実家に行って。今後のこと話すって。どういうこと?」
「ゆかりはコスメ系の会社企業してて。今後うちの会社もコスメ部門にも力をいれていこうとしていてそれで昨日話してました。」
「え?」
「まだうちうちの話ですけど。」
「そ、そうだったんだ。」
ビジネスの今後の話ってこと?
ホントにそれだけ?
「奈美さんが聞きたいのはそれだけじゃないですよね?」
「…。」
「ゆかりとはニューヨークで一緒になって。あの頃俺。早く大人になりたくて。大学も飛び級してとにかく必死で。もがいてて。よく気晴らしに付き合ってくれたりしていました。」
「…。」
「けど。これだけは言えます。一度もゆかりに恋愛感情はいだいたことはありません。」
「え。」
「奈美さんそのこと気にしてるかなってずっと気になってて。」
「うん。」
「こんなこと言うつもりじゃなかったですけど。とにかく奈美さんに並びたかったんです。」
「どういうこと?」
「早く一人前になって奈美さんに恋愛対象としてみてもらえるようになりたくて。もちろんまた出会えるかなんてわからなかったですけど。」
「…。」
「だから会社で再会した時はホントに運命というか奇跡というか。ビックリし過ぎて舞い上がっちゃいました。」
「拓海くん。」
「でも奈美さんは全然俺のこと覚えてなさそうでしたけどね。」
「そんなことないよ。」
「え?」
「覚えてた。でも名前も経歴も合わないから確信がもてなくて。忘れられるわけないもん。」
「奈美さん。」
勇気だして聞いて良かった。
これからもずっとこうして拓海君の腕の中にいたい。
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