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手首につけられた香水
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呼び方をかえるだけでこんなにドキドキするなんて。
「拓海君!お待たせ!」
「奈美さん!」
名前を呼ぶ前にまだ少し緊張してしまう。
「スポーティーな奈美さんもいいですね!」
「なんか久しぶりにこんなかっこするから恥ずかしい~。」
今日は前に発覚した2人の共通点だったテニスをしにインドアテニス場へ。
本格的にやっていた拓海君とは全然比べ物にならないのはもちろん分かってはいるけど。
せっかくの共通のものだから少しでもいいところを見せたい!
「きゃ!ごめん!」
「全然大丈夫!もう一回行くよ~!」
「うん!」
身体を動かすの楽しい!
久しぶりに息が切れるほど動いた。
「はぁ~。」
「少し休憩しましょうか!飲み物買ってきます!」
「ありがとう!」
ふぅ~。
やっぱり拓海君は若いなぁ。
まだまだ全然元気な感じ。
それにしても上手いしかっこ良かったなぁ。
なんて!
ん?
え?あれって…。
女の子に話しかけられてる!
な、ナンパ!?
そのままこっち来る…。
「初めまして!」
「は、初めまして。」
「拓海とニューヨークで一緒だったゆかりです!今そこでバッタリ会ってビックリで~!ね!」
初めてお会いしたけど仲がいいんだろうなぁというのは二人の距離感で伝わってくる。
すごく気さくで話しやすくて。
とってもいい子なのも話していくうちにすぐにわかったし。
テニスも上手くて拓海君ともラリーが続いていて。
…うん。お似合いです…。
もしかして。
「え!奈美さんが例の人なの!?」
「そう!」
「すごいじゃん!運命の再会じゃん!」
「まぁね!」
「拓海からずっと想ってる人がいるって聞いてたけどまさか奈美さんだったなんて!えっじゃ~もしかして二人は今付き合ってるの!?」
「そう!」
「え~!すご~い!」
なんか隠さずに言ってくれるのは嬉しいけど少し恥ずかしい。
テニスも終わってそのまま三人でご飯を食べに来たけど。
私の知らない雰囲気の拓海君に少し戸惑う。
「あ。あたしちょっとお手洗いに。」
すっごくいい子だし楽しいのになんでか少し心がモヤモヤする。
せっかく久しぶりに会えたお友達なんだし拓海君にも楽しんでもらいたいししっかりしなきゃだよね。
よし!
頑張ろう!
そう思って行こうとしたらゆかりちゃんが入ってきたの。
「あ。奈美さん!」
「ゆかりちゃんもお手洗い?」
「はい!後化粧直しに。拓海ピンクのリップ好きだったなぁって。」
「そ、そうなんだぁ。」
「後この香水も一緒に選んで買ってくれたんだけどいい匂いなんですよ!手出して!」
「え?」
「ほら!いい匂いでしょ!?」
「え。あ、うん!ホントいい匂いだね。じゃ~先に戻ってるね。」
「はぁ~い!」
ど、どういうこと?
二人はもしかしてただの友達ではなかった?
付き合ってたってこと?
「おかえり。」
「あ。うん。」
「なんか急にゆかりも一緒になっちゃってすみません。」
そういえばゆかりって呼び捨てでよんでる。
「よ、良かったよね!久しぶりに会えて!」
「向こうに行って誰も知り合いがいなくて最初に声かけてくれたのがゆかりで!」
「そうだったんだ!」
聞きたくない。
ゆかりちゃんとの思い出なんて。
と思ってしまっている自分がイヤ。
「あ。ゆかりちゃん戻ってきたし。私先に帰るね!」
「えっ!」
「久しぶりの再会につもる話もあるだろうし!今日は楽しかった!ありがとう!じゃ~お先に!」
逃げるようにその場を立ち去ることしか出来なかった。
あの場にこれ以上いられなかった。
胸が痛くて苦しくて。
手首につけられた香水の匂いがほのかに薫ってきて上手く息ができない。
「拓海君!お待たせ!」
「奈美さん!」
名前を呼ぶ前にまだ少し緊張してしまう。
「スポーティーな奈美さんもいいですね!」
「なんか久しぶりにこんなかっこするから恥ずかしい~。」
今日は前に発覚した2人の共通点だったテニスをしにインドアテニス場へ。
本格的にやっていた拓海君とは全然比べ物にならないのはもちろん分かってはいるけど。
せっかくの共通のものだから少しでもいいところを見せたい!
「きゃ!ごめん!」
「全然大丈夫!もう一回行くよ~!」
「うん!」
身体を動かすの楽しい!
久しぶりに息が切れるほど動いた。
「はぁ~。」
「少し休憩しましょうか!飲み物買ってきます!」
「ありがとう!」
ふぅ~。
やっぱり拓海君は若いなぁ。
まだまだ全然元気な感じ。
それにしても上手いしかっこ良かったなぁ。
なんて!
ん?
え?あれって…。
女の子に話しかけられてる!
な、ナンパ!?
そのままこっち来る…。
「初めまして!」
「は、初めまして。」
「拓海とニューヨークで一緒だったゆかりです!今そこでバッタリ会ってビックリで~!ね!」
初めてお会いしたけど仲がいいんだろうなぁというのは二人の距離感で伝わってくる。
すごく気さくで話しやすくて。
とってもいい子なのも話していくうちにすぐにわかったし。
テニスも上手くて拓海君ともラリーが続いていて。
…うん。お似合いです…。
もしかして。
「え!奈美さんが例の人なの!?」
「そう!」
「すごいじゃん!運命の再会じゃん!」
「まぁね!」
「拓海からずっと想ってる人がいるって聞いてたけどまさか奈美さんだったなんて!えっじゃ~もしかして二人は今付き合ってるの!?」
「そう!」
「え~!すご~い!」
なんか隠さずに言ってくれるのは嬉しいけど少し恥ずかしい。
テニスも終わってそのまま三人でご飯を食べに来たけど。
私の知らない雰囲気の拓海君に少し戸惑う。
「あ。あたしちょっとお手洗いに。」
すっごくいい子だし楽しいのになんでか少し心がモヤモヤする。
せっかく久しぶりに会えたお友達なんだし拓海君にも楽しんでもらいたいししっかりしなきゃだよね。
よし!
頑張ろう!
そう思って行こうとしたらゆかりちゃんが入ってきたの。
「あ。奈美さん!」
「ゆかりちゃんもお手洗い?」
「はい!後化粧直しに。拓海ピンクのリップ好きだったなぁって。」
「そ、そうなんだぁ。」
「後この香水も一緒に選んで買ってくれたんだけどいい匂いなんですよ!手出して!」
「え?」
「ほら!いい匂いでしょ!?」
「え。あ、うん!ホントいい匂いだね。じゃ~先に戻ってるね。」
「はぁ~い!」
ど、どういうこと?
二人はもしかしてただの友達ではなかった?
付き合ってたってこと?
「おかえり。」
「あ。うん。」
「なんか急にゆかりも一緒になっちゃってすみません。」
そういえばゆかりって呼び捨てでよんでる。
「よ、良かったよね!久しぶりに会えて!」
「向こうに行って誰も知り合いがいなくて最初に声かけてくれたのがゆかりで!」
「そうだったんだ!」
聞きたくない。
ゆかりちゃんとの思い出なんて。
と思ってしまっている自分がイヤ。
「あ。ゆかりちゃん戻ってきたし。私先に帰るね!」
「えっ!」
「久しぶりの再会につもる話もあるだろうし!今日は楽しかった!ありがとう!じゃ~お先に!」
逃げるようにその場を立ち去ることしか出来なかった。
あの場にこれ以上いられなかった。
胸が痛くて苦しくて。
手首につけられた香水の匂いがほのかに薫ってきて上手く息ができない。
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