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手作りの栞
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「今日うち来ませんか?」
久しぶりに紺野君に誘われて。
久しぶりに紺野君のお家に来て。
二人でご飯を作りながら紺野君の手を眺める。
やっぱりいい!
思わずにやけてしまう。
「ん?なんですか?」
「な、なんでもない!完成だね!」
「運びますね!」
「ありがとう。」
はぁ~運ぶときの手がまたステキ。やっぱり力が少し入ってる時が最高!
「今日もお疲れ様!」
「お疲れ様でした。」
「いただきまぁす!」
「いただきます。」
「ん~!美味しい!」
お仕事終わりにこうして一緒に過ごせるってなんだか幸せ。
ご飯食べてソファーで隣に座ってゆっくりまったりして。
「久しぶりにご飯一緒に作ったね!」
「そうですね。」
「自炊はしてた?」
「ちょこちょこしてました。」
「偉い偉い!」
「大したものは作れませんけど。」
「紺野君はなんでもできてホントすごいよね!」
「そうですか?」
「うん!この前だってコピー機直してくれたし!」
「あれはちょっと紙がつまってただけですから。」
「お取引先との接待のお店選びも!すっごく喜んでもらえてたし!」
「たまたまですよ~。」
「ううん!紺野君はすごいよ!」
「…。」
「ん?もしかして照れてる!?」
「あ。いや。」
「あは!かわい~!」
「も~やめてください!」
「あはは!」
なんか照れてる紺野君ってレア?
かわいい!
「な、奈美さんの方がすごいじゃないですか!」
「え~私なんてただの凡人だよ。」
「今日皆が苦戦してた案件成功させてたじゃないですか。」
「あれは皆のバックアップがあったからだし。」
「教育実習の最終日にあんなに皆から手紙もらう先生いないでしょ~。」
「えっ?」
「受け持ちのクラスじゃなかったけど知ってます。花束と色紙と沢山の手紙。放課後も教室で沢山の生徒に囲まれて。最後まで涙笑顔で。」
「…。」
「俺はフラれちゃってたから。なんだか気まずくてただただ遠くからみてることしかできなかったですけど。」
「…?」
「なんですか?」
「あ。いや。ちょっと待ってて。」
「ん?」
「これ。」
「…。」
手帳に挟んでずっと使ってた押し花の栞。
「教育実習最後の日。皆と教室でお別れした後実習室に戻ったらこれが机に置かれてて。」
「…。」
「カラスノエンドウだったから。もしかしたら九条君からかなぁなんて思ってたんだけど。」
「…なんで。」
「私この小さなお花好きで。校庭のすみっこに咲いているの見つけて見てたら。九条君が通りかかって。その花好きなんですか?って声かけてくれて。それが授業以外で初めての九条君との会話だったから。」
「…。」
「ごめん。今思うと私が勝手にこの花に思い入れがあったってだけだよね。」
「はぁ~。」
「紺野君?」
「まさかまだ持ってたなんて。」
「え?」
「しかも初めての会話覚えててくれたとか。…めちゃくちゃ嬉しい。」
“ぎゅ~”
急に抱き締められてビックリ。
「やっぱり九条君だったの?」
「はい。」
「良かったぁ。」
「もぉ奈美さんずるいです。」
「え?」
「こんなことされたら。もっと好きになっちゃう。」
「紺野君…。」
「紺野も俺ですけど。拓海って呼んで欲しい。」
「ん。たくみ…くん。」
このまま二回目のキス?
“ブーブー”
拓海君の電話に着信。
“ブーブー”
「だ、大事な電話かも?出た方がいいんじゃない?」
「…ごめん。はい。もしもし。」
また少し離れた所で話す後ろ姿。
ご両親からかしら?
この後ろ姿を見る度に少し距離を感じてしまう。
「分かった。じゃまた。」
「…。」
「ごめん。」
「ううん!大丈夫だった?」
「大丈夫。」
「…じゃ~そろそろ帰るね!」
「駅まで送る。」
「ありがとう!」
2回目のキスはお預けになっちゃったけど。
ずっと気になっていたあの栞の送り主が拓海君だって分かって良かった。
これからも大切にしよう!
久しぶりに紺野君に誘われて。
久しぶりに紺野君のお家に来て。
二人でご飯を作りながら紺野君の手を眺める。
やっぱりいい!
思わずにやけてしまう。
「ん?なんですか?」
「な、なんでもない!完成だね!」
「運びますね!」
「ありがとう。」
はぁ~運ぶときの手がまたステキ。やっぱり力が少し入ってる時が最高!
「今日もお疲れ様!」
「お疲れ様でした。」
「いただきまぁす!」
「いただきます。」
「ん~!美味しい!」
お仕事終わりにこうして一緒に過ごせるってなんだか幸せ。
ご飯食べてソファーで隣に座ってゆっくりまったりして。
「久しぶりにご飯一緒に作ったね!」
「そうですね。」
「自炊はしてた?」
「ちょこちょこしてました。」
「偉い偉い!」
「大したものは作れませんけど。」
「紺野君はなんでもできてホントすごいよね!」
「そうですか?」
「うん!この前だってコピー機直してくれたし!」
「あれはちょっと紙がつまってただけですから。」
「お取引先との接待のお店選びも!すっごく喜んでもらえてたし!」
「たまたまですよ~。」
「ううん!紺野君はすごいよ!」
「…。」
「ん?もしかして照れてる!?」
「あ。いや。」
「あは!かわい~!」
「も~やめてください!」
「あはは!」
なんか照れてる紺野君ってレア?
かわいい!
「な、奈美さんの方がすごいじゃないですか!」
「え~私なんてただの凡人だよ。」
「今日皆が苦戦してた案件成功させてたじゃないですか。」
「あれは皆のバックアップがあったからだし。」
「教育実習の最終日にあんなに皆から手紙もらう先生いないでしょ~。」
「えっ?」
「受け持ちのクラスじゃなかったけど知ってます。花束と色紙と沢山の手紙。放課後も教室で沢山の生徒に囲まれて。最後まで涙笑顔で。」
「…。」
「俺はフラれちゃってたから。なんだか気まずくてただただ遠くからみてることしかできなかったですけど。」
「…?」
「なんですか?」
「あ。いや。ちょっと待ってて。」
「ん?」
「これ。」
「…。」
手帳に挟んでずっと使ってた押し花の栞。
「教育実習最後の日。皆と教室でお別れした後実習室に戻ったらこれが机に置かれてて。」
「…。」
「カラスノエンドウだったから。もしかしたら九条君からかなぁなんて思ってたんだけど。」
「…なんで。」
「私この小さなお花好きで。校庭のすみっこに咲いているの見つけて見てたら。九条君が通りかかって。その花好きなんですか?って声かけてくれて。それが授業以外で初めての九条君との会話だったから。」
「…。」
「ごめん。今思うと私が勝手にこの花に思い入れがあったってだけだよね。」
「はぁ~。」
「紺野君?」
「まさかまだ持ってたなんて。」
「え?」
「しかも初めての会話覚えててくれたとか。…めちゃくちゃ嬉しい。」
“ぎゅ~”
急に抱き締められてビックリ。
「やっぱり九条君だったの?」
「はい。」
「良かったぁ。」
「もぉ奈美さんずるいです。」
「え?」
「こんなことされたら。もっと好きになっちゃう。」
「紺野君…。」
「紺野も俺ですけど。拓海って呼んで欲しい。」
「ん。たくみ…くん。」
このまま二回目のキス?
“ブーブー”
拓海君の電話に着信。
“ブーブー”
「だ、大事な電話かも?出た方がいいんじゃない?」
「…ごめん。はい。もしもし。」
また少し離れた所で話す後ろ姿。
ご両親からかしら?
この後ろ姿を見る度に少し距離を感じてしまう。
「分かった。じゃまた。」
「…。」
「ごめん。」
「ううん!大丈夫だった?」
「大丈夫。」
「…じゃ~そろそろ帰るね!」
「駅まで送る。」
「ありがとう!」
2回目のキスはお預けになっちゃったけど。
ずっと気になっていたあの栞の送り主が拓海君だって分かって良かった。
これからも大切にしよう!
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