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手だけ?
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「おはようございます!」
紺野君!!
「お、おはよう!」
ダメ。ぎこちなさ満点。
挨拶すら意識してしまうなんて。
「紺野君!これこの前お願いしてた件の…。」
紺野君って名前を誰かがよぶだけで意識がそっちに言ってしまう。
こんなんじゃダメ!
紺野君はちゃんとお仕事してるのに。
教育係の私がこんなことでは示しがつかない。
しっかりしなきゃ!
なんとか自分に言い聞かせて気持ちを仕事モードに切り替える。
今週は仕事が立て込んでいて丁度良かった。
残業も続いたし一日中忙しかったから恋愛モードになっている暇がなかったから。
紺野君もいつも通りだったし余計なこと考えずにすんだ。
思っていたより普通の日々でなんだか少し拍子抜けするぐらいだけど。
こんなものなのかなぁ。
金曜日。週末だし夜ご飯とか一緒に食べられたらいいなぁ。
という考えも甘かった。今日も残業。
なんだかこれじゃぁ付き合う前より疎遠な気がする…。
「奈美さん。」
「紺野君。紺野君もまだ残ってたんだね。」
「まだかかりそうですか?」
「ん~あと30分ぐらいかな。」
「了解です。」
紺野君と仕事のこととはいえ少しでも話せただけでこんなに心があったかくなるなんて。
後もう少し頑張ろう!
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様~。」
紺野君帰っちゃう!
今日ぐらい一緒に帰りたい!
必死に終わらせて後を追いかける。
久しぶりに走ったぁ。
はぁ。はぁ。
追いつかなかったかぁ~。
しょうがないよね。
「な~みさん!」
「こ、紺野君!」
「もしかして走ってきました?」
「あ。うん。紺野君に追いつくかなって。」
「…。最初から奈美さん終わるまで待ってようと思ってたんで飲み物買いに行ってました。」
「へ?そうだったの?」
「今週ずっと仕事仕事で帰りもバラバラだったんで。今日くらい一緒に帰れたらなって。」
嬉しい。紺野君も同じこと思っていてくれたなんて。
一緒にご飯食べて他愛ない話して。
二人でいられるだけでこんなに嬉しいなんて。
思っていた以上ににやけてしまっている自分がいる。
「奈美さん。手つないでいいですか?」
「ん。」
帰り道。
思いがけないご褒美が!
あの紺野君の手が!
一週間頑張って良かったぁ。
幸せ過ぎる!!
「前も思ったけど奈美さんの手ちっちゃくてかわいい。」
「えっ!な、なんか恥ずかしい。」
「好きですよ。」
「わ、私も紺野君の手好きだよ!」
「手?」
「え?」
「手だけ?」
「えっ!?」
「俺は手だけじゃなく全部好きって意味で言ったんだけど。」
「…。」
ちょ、ちょっと待って。
急にそんなこと言うなんて反則だよ!
ドキドキが急上昇。
手が好き。大好き。
でももちろん手だけじゃない。
「もう駅ついちゃいましたね。」
「そうだね。」
「週末は家のことでごたごたしそうなんで。また連絡しますね。」
「分かった。じゃぁまたね!」
離れたこの手がこんなにもさみしいなんて思わなかった。
次の約束がない別れがこんなにも悲しいなんて思わなかった。
紺野君!!
「お、おはよう!」
ダメ。ぎこちなさ満点。
挨拶すら意識してしまうなんて。
「紺野君!これこの前お願いしてた件の…。」
紺野君って名前を誰かがよぶだけで意識がそっちに言ってしまう。
こんなんじゃダメ!
紺野君はちゃんとお仕事してるのに。
教育係の私がこんなことでは示しがつかない。
しっかりしなきゃ!
なんとか自分に言い聞かせて気持ちを仕事モードに切り替える。
今週は仕事が立て込んでいて丁度良かった。
残業も続いたし一日中忙しかったから恋愛モードになっている暇がなかったから。
紺野君もいつも通りだったし余計なこと考えずにすんだ。
思っていたより普通の日々でなんだか少し拍子抜けするぐらいだけど。
こんなものなのかなぁ。
金曜日。週末だし夜ご飯とか一緒に食べられたらいいなぁ。
という考えも甘かった。今日も残業。
なんだかこれじゃぁ付き合う前より疎遠な気がする…。
「奈美さん。」
「紺野君。紺野君もまだ残ってたんだね。」
「まだかかりそうですか?」
「ん~あと30分ぐらいかな。」
「了解です。」
紺野君と仕事のこととはいえ少しでも話せただけでこんなに心があったかくなるなんて。
後もう少し頑張ろう!
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様~。」
紺野君帰っちゃう!
今日ぐらい一緒に帰りたい!
必死に終わらせて後を追いかける。
久しぶりに走ったぁ。
はぁ。はぁ。
追いつかなかったかぁ~。
しょうがないよね。
「な~みさん!」
「こ、紺野君!」
「もしかして走ってきました?」
「あ。うん。紺野君に追いつくかなって。」
「…。最初から奈美さん終わるまで待ってようと思ってたんで飲み物買いに行ってました。」
「へ?そうだったの?」
「今週ずっと仕事仕事で帰りもバラバラだったんで。今日くらい一緒に帰れたらなって。」
嬉しい。紺野君も同じこと思っていてくれたなんて。
一緒にご飯食べて他愛ない話して。
二人でいられるだけでこんなに嬉しいなんて。
思っていた以上ににやけてしまっている自分がいる。
「奈美さん。手つないでいいですか?」
「ん。」
帰り道。
思いがけないご褒美が!
あの紺野君の手が!
一週間頑張って良かったぁ。
幸せ過ぎる!!
「前も思ったけど奈美さんの手ちっちゃくてかわいい。」
「えっ!な、なんか恥ずかしい。」
「好きですよ。」
「わ、私も紺野君の手好きだよ!」
「手?」
「え?」
「手だけ?」
「えっ!?」
「俺は手だけじゃなく全部好きって意味で言ったんだけど。」
「…。」
ちょ、ちょっと待って。
急にそんなこと言うなんて反則だよ!
ドキドキが急上昇。
手が好き。大好き。
でももちろん手だけじゃない。
「もう駅ついちゃいましたね。」
「そうだね。」
「週末は家のことでごたごたしそうなんで。また連絡しますね。」
「分かった。じゃぁまたね!」
離れたこの手がこんなにもさみしいなんて思わなかった。
次の約束がない別れがこんなにも悲しいなんて思わなかった。
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