【完結】お願い その手で私を

あい

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手フェチを越える

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紺野君の手が触れるとそこから全身が熱くなって。ドキドキが止まらなくなって。
どうしていいか分からなくなる。

「思ったんだけど。奈美のそれってただのフェチを越えてない?普通に好きでしよ。」
「えっ。」

思いがけない友人の言葉にとまどう。

「何そのきょとんとした感じ。」
「えっと。」
「世間ではそれを好きっていうんじゃないの?」
「いや。あの。ちょっと待って。私は紺野君の手がすごく好き。でもそれはあくまでも手であって。」
「奈美が手フェチだってことはもう10年以上前から知ってるけどさぁ。今まで手をみただけでドキドキがとまらなくなったりどうしたらいいか分からなくなったりしたことある?」
「…ないかも?」
「でしょ?」
「…。」
「はい。その年下君のことが好きなこと確定!」
「ちょっ。えっ。え~!」
「奈美ってホント昔から恋愛に関してすっごい鈍感だよねぇ。相手の気持ちならまだしも自分の気持ちにも気づかないとかある?」
「う~。けど手が好き以外好きになる理由が思い当たらないというか。」
「好きになるのに理由とかいらないし。」
「なんか名言っぽい。」
「ドキドキするとかはもちろんだけどさ。その人といると落ち着くなぁとか。会いたいなぁとか。一緒にいたいなぁとか。触れたいなぁとか。何してるかなぁとか。そういうのないの?」
「全部ある。全部おもう。」
「それ完全に好きじゃん。」
「さっちゃんすごい。」
「あはは。なにがよ~。」
「好きなのかぁ。」
「良かったじゃん。前進めそうじゃん。」
「進めるかなぁ?」
「聞く限りいい子そうだし!」 
「うん。」
「その子も奈美のこと好きそうだし普通にコクったら付き合うことになりそうじゃん!」
「えっ!」
「ようやく奈美にも彼氏か!」
「ちょちょっと待って!」 
「ん?」
「なんでそうなるの?」
「奈美から行けば即オッケーでスタートだって!」
「ないないない!オッケーもスタートもない!ましてや私から行くとか無理無理無理!」
「あのさ~。その子すっごい人気あるんでしょ?」
「うん。」
「そんな高物件ぐずぐずしてたらすぐ持っていかれちゃうよ!?」
「た、確かに。」
「分かったら即行動!」
「え?」
「今すぐメールして!」
「え!?」
「会いたい。ハートって!」
「無理無理無理!全然そういう関係じゃないし私そういうキャラでもないし!!」
「じゃ~誰かのものになっていくのを黙って指くわえて見てるしかないね。」
「そんなぁ~。」
「そのうちあの手で誰かを抱くのね。奈美じゃない誰かを。」
「やめてやめて~!!」
「はい。今すぐメールしましょう!」
「う~。」

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