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過去の痛手
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「拓海くんこっちこっち!」
「今日の主役の登場で~す!」
今日は紺野君の歓迎会。
この前の微妙な感じはなんだったんだろう。
あれから少し元気ないような感じがするのは気のせい?
「ようこそ!かんぱ~い!」
「かんぱ~い!!」
良かったぁ。
普通に皆と楽しそうに飲んでる。
今日はジョッキを持つ手がかっこいい。
神様。今日もステキな手をありがとうございます!
「な~みちゃん!」
「部長お疲れ様です!」
「その後どう?教育係は?」
「順調です!で大丈夫ですよね?」
「もちろん職場ではね!」
「ん?良かったです。」
「私生活はどうなのよ?紺野君と進展とかないの?」
「そんなのないですよ。見てくださいよ。ほら。モテモテ!私に入り込む余地などありません。」
「確かに見た目よし!仕事もできて!性格もよし!完璧ね!そりゃ~もてるわよね~。私も後10年いや20年若かったらなぁ~。」
「も~部長ってば!」
「高田君とのことは?吹っ切れた?」
「あ、はい。もう三年も前のことですし!いつまでも引きずってるわけに行きませんよ!」
「それならいいんだけど…。」
「部長!飲みましょう!はい!」
三年前。
今も同じ部署で働いている先輩の高田篤人さんのことが好きだった。
順調にお付き合いできていると思っていた。
でもある日家に行ったら。
女の人といた。
何が欠けていたのか。何が悪かったのか。
わからないまま。
「紺野君こっちこっち~!」
「はい!部長!」
「飲んでる?」
「はい!頂いてます!」
「今日は飲もう!」
「はい!」
「もぉ部長大丈夫ですかぁ?」
「大丈夫大丈夫!ほら奈美ちゃんも!」
「あ、はい。」
「奈美さん。部長すごいですね。」
「うん。飲み会ではだいたいつぶれるから。」
「何か言った!?」
「いえいえ!」
「紺野~部長に絡まれないように気を付けろよ~。」
「高田さん。」
「こら高田君なんか文句あるの!?」
「ないですないです。」
篤人さん…。
「奈美さん?」
「…へ?」
「大丈夫ですか?」
「うん!」
「弱くてすぐ赤くなっちゃうんですから無理しないで下さいね。」
「え?奈、いや藤枝さんは顔色変わらないだろ?」
「え?」
「意外と酒強いし。」
「…。」
「も~!拓海くんこっちにいたの!?」
「あ、はい!」
「急にいなくなっちゃうんだも~ん!」
「部長にご挨拶をと思って。」
「そうだったんだね!じゃ~こっちでまた一緒に飲もう!」
「藤枝さんは次何にする?」
「えっと。」
篤人さん。あれ以来なんとなく避けてしまっていたし。仕事以外で久しぶりに話したかも。
「カルーア?」
「あ。はい。」
「すみませ~ん。ビールとカルーアミルクお願いします!」
「は~い!」
酔ってもあまり顔色が変わらないこと。
カルーアミルクが好きなこと。
なんでまだ覚えてるの。
「はい。ヒヨコ。」
「…。」
おしぼりで作ったヒヨコ。
付き合って初めてのデートで緊張している私を和ませようと作ってくれた。
なんでこんなことしてくるの?
「ちょっとお手洗いに。」
やめて欲しい。
忘れかけていたことを。
思い出させないで。
「奈美。」
トイレを出たら高田さんがいる。
名前で呼ばないで。
なんでいるの?
「そんな顔するなよ。」
「…。」
「ずっと後悔してた。」
「…。」
「奈美もう一度。」
走って逃げた。
やめて。
一生懸命過去の出来事にしたことを今さらこじ開けないで!!
「な~みちゃん。」
「部長…。」
「荷物持ってきたよ。」
「すみません。」
あのまま飲み会を逃亡してしまった。
そしてふと我に返ったら荷物を置いてきてしまったことに気づいて。
唯一全部知ってる部長に届けてもらってしまった。
「ぶちょ~!」
部長の顔を見たら急に泣けてきちゃった。
私だって嫌いで別れることになったわけじゃない。
ずっと好きだった。
でもどうしようもい事実が目の前にあって。
「落ち着いた?」
「すみません。ホントすみません。」
「いいよ。いくらでも付き合うから。」
「う。う~。」
もう涙は封印しようと思っていたのに。
三年振りに泣いた。
「今日の主役の登場で~す!」
今日は紺野君の歓迎会。
この前の微妙な感じはなんだったんだろう。
あれから少し元気ないような感じがするのは気のせい?
「ようこそ!かんぱ~い!」
「かんぱ~い!!」
良かったぁ。
普通に皆と楽しそうに飲んでる。
今日はジョッキを持つ手がかっこいい。
神様。今日もステキな手をありがとうございます!
「な~みちゃん!」
「部長お疲れ様です!」
「その後どう?教育係は?」
「順調です!で大丈夫ですよね?」
「もちろん職場ではね!」
「ん?良かったです。」
「私生活はどうなのよ?紺野君と進展とかないの?」
「そんなのないですよ。見てくださいよ。ほら。モテモテ!私に入り込む余地などありません。」
「確かに見た目よし!仕事もできて!性格もよし!完璧ね!そりゃ~もてるわよね~。私も後10年いや20年若かったらなぁ~。」
「も~部長ってば!」
「高田君とのことは?吹っ切れた?」
「あ、はい。もう三年も前のことですし!いつまでも引きずってるわけに行きませんよ!」
「それならいいんだけど…。」
「部長!飲みましょう!はい!」
三年前。
今も同じ部署で働いている先輩の高田篤人さんのことが好きだった。
順調にお付き合いできていると思っていた。
でもある日家に行ったら。
女の人といた。
何が欠けていたのか。何が悪かったのか。
わからないまま。
「紺野君こっちこっち~!」
「はい!部長!」
「飲んでる?」
「はい!頂いてます!」
「今日は飲もう!」
「はい!」
「もぉ部長大丈夫ですかぁ?」
「大丈夫大丈夫!ほら奈美ちゃんも!」
「あ、はい。」
「奈美さん。部長すごいですね。」
「うん。飲み会ではだいたいつぶれるから。」
「何か言った!?」
「いえいえ!」
「紺野~部長に絡まれないように気を付けろよ~。」
「高田さん。」
「こら高田君なんか文句あるの!?」
「ないですないです。」
篤人さん…。
「奈美さん?」
「…へ?」
「大丈夫ですか?」
「うん!」
「弱くてすぐ赤くなっちゃうんですから無理しないで下さいね。」
「え?奈、いや藤枝さんは顔色変わらないだろ?」
「え?」
「意外と酒強いし。」
「…。」
「も~!拓海くんこっちにいたの!?」
「あ、はい!」
「急にいなくなっちゃうんだも~ん!」
「部長にご挨拶をと思って。」
「そうだったんだね!じゃ~こっちでまた一緒に飲もう!」
「藤枝さんは次何にする?」
「えっと。」
篤人さん。あれ以来なんとなく避けてしまっていたし。仕事以外で久しぶりに話したかも。
「カルーア?」
「あ。はい。」
「すみませ~ん。ビールとカルーアミルクお願いします!」
「は~い!」
酔ってもあまり顔色が変わらないこと。
カルーアミルクが好きなこと。
なんでまだ覚えてるの。
「はい。ヒヨコ。」
「…。」
おしぼりで作ったヒヨコ。
付き合って初めてのデートで緊張している私を和ませようと作ってくれた。
なんでこんなことしてくるの?
「ちょっとお手洗いに。」
やめて欲しい。
忘れかけていたことを。
思い出させないで。
「奈美。」
トイレを出たら高田さんがいる。
名前で呼ばないで。
なんでいるの?
「そんな顔するなよ。」
「…。」
「ずっと後悔してた。」
「…。」
「奈美もう一度。」
走って逃げた。
やめて。
一生懸命過去の出来事にしたことを今さらこじ開けないで!!
「な~みちゃん。」
「部長…。」
「荷物持ってきたよ。」
「すみません。」
あのまま飲み会を逃亡してしまった。
そしてふと我に返ったら荷物を置いてきてしまったことに気づいて。
唯一全部知ってる部長に届けてもらってしまった。
「ぶちょ~!」
部長の顔を見たら急に泣けてきちゃった。
私だって嫌いで別れることになったわけじゃない。
ずっと好きだった。
でもどうしようもい事実が目の前にあって。
「落ち着いた?」
「すみません。ホントすみません。」
「いいよ。いくらでも付き合うから。」
「う。う~。」
もう涙は封印しようと思っていたのに。
三年振りに泣いた。
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