気になるあの子が死んだから。

瑛の番

瑛は、自分がサインをもらう時幸恵と同じぐらい先生と話す内容をイメージトレーニングしていたが、いざ作者様を目の前にすると、緊張のあまり、言葉が出なくなり、


「せ、、、先生の大ファンの瑛ですっ！」


としか言えなかった。


落ち込む瑛を見た幸恵は、


「瑛くん。私先生がよく行くcafe知ってるんだけど、、、よければ今から行かない？私はもう少し瑛君と話したいと思って。」


と悪戯っぽく笑う幸恵に、



「はい。行きたいです。」


と先生の前に出たら幸恵のようにはうまく話せなかった残念な気持ちを残しながら答えた。


「そうと決まったら，いこー！」


と幸恵は、瑛の手を取りCafeへと向かった。



「マスター！今日は来てますか?」


とカウンター席に来て店員の老人男性にコソッと尋ねると、


「惜しかったね。今日は午前中に見えてたんだよ。まぁ、ここには週に３回は見えてる方だから、気を落とさないで。そちらの方も先生の大ファンなのかな?」



と聞かれて、


「はい！先生のファンやってます。サイン会に今日幸恵さんと行ったんですけどうまく話せなくて、、、。」


と言う瑛に、


「まぁ、人間はじめから上手く行く人なんてそういやしないさ。次は、きっと今日より話せると思うから、今日の事を覚えておくといいよ。ご注文はなにになさいますか?」


と聞かれて，


「瑛くん。ブラックコーヒーは飲める?あと、生クリームは大丈夫?」


と幸恵に尋ねられた。


「はい。どっちも大丈夫です。」



と答えると，



「じゃあ、マスター！先生セット二つで！」


と勝手に注文されて何が何だかわからない瑛であった。