大人になっても断れない私

七瀬蓮

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羽衣ちゃんとの決別

瀬戸際

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「月一ぐらいなんだね。まぁ、希ちゃん働いてるし、そんなもんになっちゃうよねー?彼氏さんは何系の大学行ってるんですか?」


と突然私に質問が飛んできた。



「……。教育系です。将来は小学校の先生になりたいと思ってます。」


と、低い声で私は答えた。



「え!私も今は派遣で保育士やってるんですけど、なんで小学校の先生になろうと思ったんですか?中学の先生とか子供って一口に言ってもいろんな年齢がいるのに、なんで小学校の先生目指されてるんですか?」



と羽衣ちゃんに尋ねられて、


「……。俺、子どもたちとと放課とかに、ドッジボールとかして遊びたくて。だから、子どもの気持ちに寄り添える小学校の先生目指してます。」



と、私はネットで見聞きした言葉をスラスラと言った。


「分かります。子どもと、成長見届けるとか、できるのがいい点ですよね!」



と、共感を得ることができた。


しかし、私は言葉のキャッチボールをあえてしなかった。


なぜ保育士目指されたんですか?


と,尋ねることは、出来たが私からそれをするつもりはなかった。


だって、答えは高校時代に聞いてるのだから。また同じ話を聞かされるのは、なんだかめんどくさかったし、彼女の保育士になったきっかけは、ちょっと複雑であるのを知っている為、初対面の私が聞いていいのか躊躇った。


羽衣ちゃんは、言葉のキャッチボールが成立しないのを感じたのか、何度か頷いた後、


「ねぇねぇ希ちゃん。……彼氏さんいる前でこんなこと聞くのもアレなんだけど……。元カレさんはどうしたの?前会ったとき……。って言っても3年前ぐらいか……。その時に

「同棲するんだー!」

って言ってたじゃん?あの後どうしたの?……。本当彼氏さんごめんなさい!でも、気になっちゃって……!」


と言われて、私は内心、



私が、本当は友達だから。希ちゃんと同性の女だから。希ちゃんが、ヘテロセクシャル異性愛者だから。

その話は受け止められるけど、


私が本当に男だったら?彼氏だったら?どうすんのさ?


と、私の脳内は怒りに近いもので満ち溢れていた。


そもそもモラル的にはどうなんだろう。


と、1人無言で考えていると、



「あぁ。その時の彼とはお別れしたよ。自然消滅だった。……でも、そのおかげでミチルくんと会えたから。」


と希ちゃんはさらりと惚気た。


さすがだなと思った。


本当は羽衣ちゃんの言ってる彼氏さんと同棲してるし、私のやってることって最低じゃない……?


と私は自問自答を繰り返していた。
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