虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました

天宮有

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第19話

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 私はレモノが屋敷に来た理由を察して、呆れ果てるしかない。

 恐らくジェイドが私のことを好きだと思い、レモノは妹の自分にもチャンスがあると考えている。
 実際は私の力に惹かれているだけな気がしたけど、今までの言動を思い返す。
 よく考えてみると、実際はどうなのだろうかと気になってしまい――ジェイドが、レモノに話す。

「アニカ様に酷いことをした時点で、レモノ様は嫌いだ」

 隣にいるジェイドは、少し怒っている気がしていた。
 そんなことは考えていないのか、レモノは唖然として叫ぶ。

「うっっ――お姉様よりも、私の方が可愛く優秀です!」

「優秀? レモノ様は自分のことを高く評価し、姉であるアニカ様を低く評価しているようだ」

「なっっ!? ジェイド様は、私よりもアニカの方が優秀だと考えているのですか!?」

 それは当然のことだと思うけど、レモノは信じられなかったようだ。
 屋敷に乗り込むほどだから、本心で言っているに違いない。
 それに私が呆れていると、ジェイドが話す。

「魔物の群れを1人で対処した実績があるのだから、間違いないはずだ」

「それは――それなら、お姉様は今まで私を虐げていました!!」

「魔物の群れの場所に、アニカ様を1人で送り出す……レモノ様は、止めようとしなかったのか?」

「うぅっ! そ、それは……知りませんでした!」

「アニカ様は何度も酷い目に合わされていて、それを妹のレモノ様が知らないわけがない……今までのことから、家族でアニカ様を虐げていたのは間違いないだろう」

 レモノの発言は、今までの私の活躍から嘘だと判明している。
 それでもレモノは諦めず――ジェイドは、我慢の限界がきたようだ。
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