16 / 35
第16話
しおりを挟む
レモノ視点
私はガイスから屋敷に招待されて、部屋で話を聞いている。
姉に虐げられたと考えているガイスは、アニカが屋敷から出たことを喜んでいた。
「まさかジェイド様が、アニカを屋敷に住ませるとは思いませんでしたけど……これでレモノ様は安全です」
「そうですね」
話を聞いてガイスに賛同するけど、私は苛立っていた。
ガイスの顔立ちは整ってはいるけど、ジェイドと比べると遥かに劣る。
ジェイドはアニカのことが好きでもなければ、屋敷に招待しないはず。
私の婚約者は目の前のガイスなのに、アニカの婚約者はジェイドになりそう。
侯爵家と公爵家、貴族達の評判もジェイドの方がガイスより遥かに上だ。
ジェイドが姉アニカを屋敷に招待してから、私はそんなことばかり考える。
嫉妬が強くなっていくのを自覚して、抑えることができなくなっていく。
「……お姉様のことが好きだなんて、ジェイド様も物好きな人です」
「はい。普通ならアニカ様よりも、レモノ様を好きになるでしょう」
――そう、ガイスの言う通りだ。
ジェイドとアニカが出会った時、私には婚約者がいた。
婚約者がいなければ、ジェイドはアニカよりも私のことが好きになったに決まっている。
ジェイドはアニカよりも、私の方が好きだと確信する。
好きだと伝えてジェイドを婚約者にできれば、アニカの居場所を奪うことができそうだ。
そして立場が上になるから、婚約者のガイスは切り捨ててしまえばいい。
私は決意して、行動に出ようとする。
それが最悪の結末になることを、私はなにも考えていなかった。
私はガイスから屋敷に招待されて、部屋で話を聞いている。
姉に虐げられたと考えているガイスは、アニカが屋敷から出たことを喜んでいた。
「まさかジェイド様が、アニカを屋敷に住ませるとは思いませんでしたけど……これでレモノ様は安全です」
「そうですね」
話を聞いてガイスに賛同するけど、私は苛立っていた。
ガイスの顔立ちは整ってはいるけど、ジェイドと比べると遥かに劣る。
ジェイドはアニカのことが好きでもなければ、屋敷に招待しないはず。
私の婚約者は目の前のガイスなのに、アニカの婚約者はジェイドになりそう。
侯爵家と公爵家、貴族達の評判もジェイドの方がガイスより遥かに上だ。
ジェイドが姉アニカを屋敷に招待してから、私はそんなことばかり考える。
嫉妬が強くなっていくのを自覚して、抑えることができなくなっていく。
「……お姉様のことが好きだなんて、ジェイド様も物好きな人です」
「はい。普通ならアニカ様よりも、レモノ様を好きになるでしょう」
――そう、ガイスの言う通りだ。
ジェイドとアニカが出会った時、私には婚約者がいた。
婚約者がいなければ、ジェイドはアニカよりも私のことが好きになったに決まっている。
ジェイドはアニカよりも、私の方が好きだと確信する。
好きだと伝えてジェイドを婚約者にできれば、アニカの居場所を奪うことができそうだ。
そして立場が上になるから、婚約者のガイスは切り捨ててしまえばいい。
私は決意して、行動に出ようとする。
それが最悪の結末になることを、私はなにも考えていなかった。
11
お気に入りに追加
1,172
あなたにおすすめの小説
【完結】偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~
Na20
恋愛
私は孤児院からノスタルク公爵家に引き取られ養子となったが家族と認められることはなかった。
婚約者である王太子殿下からも蔑ろにされておりただただ良いように使われるだけの毎日。
そんな日々でも唯一の希望があった。
「必ず迎えに行く!」
大好きだった友達との約束だけが私の心の支えだった。だけどそれも八年も前の約束。
私はこれからも変わらない日々を送っていくのだろうと諦め始めていた。
そんな時にやってきた留学生が大好きだった友達に似ていて…
※設定はゆるいです
※小説家になろう様にも掲載しています
【完結】白い結婚なのでさっさとこの家から出ていきます~私の人生本番は離婚から。しっかり稼ぎたいと思います~
Na20
恋愛
ヴァイオレットは十歳の時に両親を事故で亡くしたショックで前世を思い出した。次期マクスター伯爵であったヴァイオレットだが、まだ十歳ということで父の弟である叔父がヴァイオレットが十八歳になるまでの代理として爵位を継ぐことになる。しかし叔父はヴァイオレットが十七歳の時に縁談を取り付け家から追い出してしまう。その縁談の相手は平民の恋人がいる侯爵家の嫡男だった。
「俺はお前を愛することはない!」
初夜にそう宣言した旦那様にヴァイオレットは思った。
(この家も長くはもたないわね)
貴族同士の結婚は簡単には離婚することができない。だけど離婚できる方法はもちろんある。それが三年の白い結婚だ。
ヴァイオレットは結婚初日に白い結婚でさっさと離婚し、この家から出ていくと決めたのだった。
6話と7話の間が抜けてしまいました…
7*として投稿しましたのでよろしければご覧ください!
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
旦那様のお望みどおり、お飾りの妻になります
Na20
恋愛
「しょ、初夜はどうするのですか…!?」
「…………すまない」
相手から望まれて嫁いだはずなのに、初夜を拒否されてしまった。拒否された理由はなんなのかを考えた時に、ふと以前読んだ小説を思い出した。その小説は貴族男性と平民女性の恋愛を描いたもので、そこに出てくるお飾りの妻に今の自分の状況が似ていることに気がついたのだ。旦那様は私にお飾りの妻になることを望んでいる。だから私はお飾りの妻になることに決めたのだ。
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います
ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には
好きな人がいた。
彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが
令嬢はそれで恋に落ちてしまった。
だけど彼は私を利用するだけで
振り向いてはくれない。
ある日、薬の過剰摂取をして
彼から離れようとした令嬢の話。
* 完結保証付き
* 3万文字未満
* 暇つぶしにご利用下さい
悲劇の令嬢を救いたい、ですか。忠告はしましたので、あとはお好きにどうぞ。
ふまさ
恋愛
「──馬鹿馬鹿しい。何だ、この調査報告書は」
ぱさっ。
伯爵令息であるパーシーは、テーブルに三枚に束ねられた紙をほうった。向かい側に座る伯爵令嬢のカーラは、静かに口を開いた。
「きちんと目は通してもらえましたか?」
「むろんだ。そのうえで、もう一度言わせてもらうよ。馬鹿馬鹿しい、とね。そもそもどうして、きみは探偵なんか雇ってまで、こんなことをしたんだ?」
ざわざわ。ざわざわ。
王都内でも評判のカフェ。昼時のいまは、客で溢れかえっている。
「──女のカン、というやつでしょうか」
「何だ、それは。素直に言ったら少しは可愛げがあるのに」
「素直、とは」
「婚約者のぼくに、きみだけを見てほしいから、こんなことをしました、とかね」
カーラは一つため息をつき、確認するようにもう一度訊ねた。
「きちんとその調査報告書に目を通されたうえで、あなたはわたしの言っていることを馬鹿馬鹿しいと、信じないというのですね?」
「き、きみを馬鹿馬鹿しいとは言ってないし、きみを信じていないわけじゃない。でも、これは……」
カーラは「わかりました」と、調査報告書を手に取り、カバンにしまった。
「それではどうぞ、お好きになさいませ」
幼い頃、義母に酸で顔を焼かれた公爵令嬢は、それでも愛してくれた王太子が冤罪で追放されたので、ついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
設定はゆるくなっています、気になる方は最初から読まないでください。
ウィンターレン公爵家令嬢ジェミーは、幼い頃に義母のアイラに酸で顔を焼かれてしまった。何とか命は助かったものの、とても社交界にデビューできるような顔ではなかった。だが不屈の精神力と仮面をつける事で、社交界にデビューを果たした。そんなジェミーを、心優しく人の本質を見抜ける王太子レオナルドが見初めた。王太子はジェミーを婚約者に選び、幸せな家庭を築くかに思われたが、王位を狙う邪悪な弟に冤罪を着せられ追放刑にされてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる