虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました

第１５話

レモノ視点

　私がアニカに酷い目に合わせると宣言して、数ヶ月が経っている。
　部屋で１人になった私は、現状に嘆いていた。

「アニカが、ジェイド様の屋敷に住めるなんて……」

　椅子に座り項垂れて、アニカのことを考えると苛立つしかない。
　姉アニカは、ジェイドと出会ったことで変わっていた。
　それが羨ましくて、私は叫ばずにはいられない。

「まさかアニカが、ジェイド様とあそこまで仲がよかったなんて思わないわ！！」

　私とお父様、お母様が虐げようとすると、アニカは反撃するようになる。
　反撃に恐怖した私達は何も行動できなくなったけど、その間に排除する方法を考えていた。　

　そしてお父様が、アニカをドラゴンの群れの元に向かわせようとしていた。
　ここまですれば確実に葬れることができると、私達は確信する。
　それなのに――ジェイドが現れて、アニカを屋鋪に済ませると話していた。

「実際に会ってみると、ジェイド様はとても素敵な方でした……女性の趣味が悪い以外は、素敵な方です」

　姉アニカは、私と違う点なんて身長だけだ。
　大きすぎるから誰も婚約してくれる人がいなかったのに、ジェイドには好かれている。
　私はそれが許せなくて――アニカに対する敵意が、より強くなっていた。