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第6話

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 その後しばらくの間、家族が私を虐げることはなくなっていた。

 私としては、家族が行動しない限りは反撃するつもりはない。
 気を遣って魔力を抑えたりすることは止めたから、家族は私に怯えているようだ。

 そして――数日が経って、私はお父様の部屋に呼び出される。
 そこにはお母様と妹レモノの姿もあって、私は尋ねた。

「私に、何か用ですか?」

「ぐっっ……アニカには、これからここに向かってもらう!」

 そう言って、お父様が私に地図を見せてくる。
 そこはドラゴンが生息している山地で、私はお父様の命令が理解できなかった。

「私がここに向かって、何をするのですか?」

「ドラゴンの子供は成長する際に、自らを結晶化する。その結晶を入手して来い!」

 私はお父様の命令に、呆れるしかない。
 冒険者の依頼なら最高難易度になる程で、依頼が出たとしても受ける人がいない危険な行為だ。

「ドラゴンの結晶を入手するためには、ドラゴンの群れを相手にしなければなりません。私1人で、ドラゴンの群れと戦えというのですか?」

 どうやら家族としては、私をこの命令で確実に排除したいようだ。
 ドラゴンを覆う結晶は硬くて、砕くのには時間がかかる。
 無茶苦茶な命令に呆れていると、お父様が話す。

「当然だ。アニカの魔力なら、問題なく結晶を入手して戻ってこられるだろう」

「お姉様は、私達に魔力を見せつけていますもの……自慢の魔力があれば、ドラゴンの群れも余裕ですわ!」

 レモノが笑みを浮かべて話し、私が消えることを喜んでいる。
 確実に排除する方法を探していたから、今まで虐げるのを止めていたのでしょう。
 そしてこの命令で、私が確実に消えると考えていそうだ。

「今すぐに向かってもらう! 拒否することはできん――」

「――こんな無茶苦茶な命令を、アニカ様が聞く必要はない」

 お父様の発言を遮って、部屋に1人の美青年が入ってくる。
 その人は――私が屋敷に招待していた、公爵令息のジェイドだった。
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