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第2話

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 家族の命令で外に出ることとなり、私は公爵令息のジェイドと偶然出会う。

 凶暴な魔物の群れを1人で対処していた私を眺めて、ジェイドは心配してくれる。
 1人で戦っていた理由を聞かれて、私は全てを話していた。

「妹のレモノが、ガイス様の婚約者になって……私を、排除したくなったようです」

「ランアス侯爵家のガイス様か。どうしてレモノ様はアニカ様を敵視しているんだ?」

「恐らくですけど……私の魔法の実力と、身長差のせいでしょう」

 私の身長は、男性より少し高い。
 ジェイドも長身だけど、私と同じぐらいの背丈だった。

 小柄な妹レモノは、私が話すと見下されているようで嫌だったらしい。
 長身なのは私に婚約の話が来なかった理由でもあったけど、ジェイドは気にしていない様子だ。

「嫉妬によるものか。アニカの魔法は素晴らしく、魔石を吸収することもできるとは……素晴らしい才能だ」

「魔石を吸収、ですか?」

 魔物を倒した際に現れる魔石は、なぜかすぐに消えていた。
 理由がわからなかったけど、ジェイドは知っているようだ。

「魔石が発生した瞬間に限るが、魔石の魔力を取り込むことができる者も希にいるらしい」

 ジェイドは魔物と魔石の研究をしているから、私の力を知っていたようだ。
 興奮している様子で、私の扱った力の凄さを話してくれる。

「この力は魔物が魔石に変わった瞬間しか発動されない。普通の伯爵令嬢なら、魔物と戦う機会なんてないはずだ」

 どうやら本来なら、私は一生気付かない力のようだ。
 妹レモノの嫌がらせによって、私は自分の力を知ることができた。

「そうですね……この力がなければ、私は生きていなかったでしょう」

 私はジェイドが、普通に話してくれるのが嬉しかった。
 家族に虐げられていることを話すと、ジェイドが思案して話す。

「どうしてアニカ様が耐えているのか、俺には理解できない」

「……えっ?」

「毒針で刺されて、こんな場所に向かわせる。イルノーク伯爵家は異常だ」

 確かにジェイドの言うとおりで、家族は私を排除しようとしている。
 家を出ることも考えたけど……そんなことをした後、どうすればいいのかがわからない。

「ジェイド様の言うとおりだと思います。それでも……家を捨てて平民になった後、私はどうすればいいのかがわかりません」

 ジェイドになら、私は本心を話せた。
 そして私は、ジェイドの発言に驚くこととなる。

「それなら――俺が守るから、アニカ様は耐える必要はない」

「えっ?」

「家を捨てると決意できたら、俺の屋敷に来て構わない……決めるのは、アニカ様だ」

 そう言って、ジェイドは屋敷の場所を教えて去っていく。
 私は離れた場所で待機していた馬車に乗って、屋敷に戻っていた。

 なにかあれば家に来ていいとジェイドに言われたことで、私は決意する。
 これからは家族に反撃していき、追い出された時はジェイドの屋敷に向かえばいい。

 虐げられていた私は――ジェイドと出会うことで、耐える必要がなくなった。
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