婚約者は迷いの森に私を捨てました

第１１話

　数日後――パーティ会場の中で、私はリオンの隣にいた。

　貴族の人達は私がいることに驚いていたけど、リオンが事情を話してくれる。

　迷いの森にいたルカを、偶然リオンが助けた。
　ダウロスがルカを迷いの森に捨てたから、今まで匿っている。
　その後ダウロスがミテラを婚約者にしたことで、リオンは好きになったルカを婚約者にして今日パーティにやって来ていた。

　公爵令息リオンの発言だから、貴族の人達は信じてくれる。
　それでも侯爵令息のダウロスが、伯爵令嬢の私を捨てたことは信じられないらしい。
　話をしていると――私に気付いたダウロスが、やって来て叫ぶ。

「ルカよ生きていたか！　全てミテラが悪い、お前の婚約者は俺だ！」
「いいえ。ダウロス様の婚約者はミテラ様で、私の婚約者はリオン様です」
「ルカの言うとおりだ。お互い手続きは済ませているし、お前の発言は無茶苦茶だ」

　私の前にリオンが出てくれて、ダウロスの隣にいるミテラは動揺している。
　リオンを無視してダウロスは、私を睨み叫ぶ。

「ルカよ、お前は侯爵家の俺に逆らうのか！」
「ダウロス……お前は公爵家の俺の婚約者ルカに対して、何を言っている？」
「そ、それは……俺にはルカが必要だ！」
「迷いの森に捨てておいて、ダウロスはよく言えたものだ」
「ぐぅっっ！？　そ、そんなことするわけがないだろう！？」

　私の前にリオンが立ち、発言を聞いてダウロスが動揺する。
　迷いの森に捨てたことは否定したいようだけど、ダウロスの隣にいるミテラが叫ぶ。

「いいえ。ダウロス様はルカ様を迷いの森に捨てています！」
「はぁっ！？　ミテラは何を言っている！？」
「証拠もあります！　私は、ダウロス様と婚約したくありませんでした！」

　現状からダウロスを切り捨てた方がいいとミテラは判断し、行動を起こそうとしている。
　その行動によって、ダウロスは更に追い詰められようとしていた。