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第3話
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森から出た私とリオンは、馬車の元に到着する。
馬車には食事が用意されていて、リオンは私が何も食べていないと推測していたようだ。
食事を終えると、リオンは何が起きたのかを話してくれる。
監視していたから迷いの森へ向かったのはわかったけど、気付かれないよう尾行していたから私の位置がわからなかったらしい。
リオンは1人で捜索していたけど、今日中に見つからなければ人を集めて探す予定だったと話してくれた。
「侯爵令息のダウロスを怪しんでいることは、あまり知られたくなかった……屋敷に到着したから、ルカはついてきて欲しい」
そう言われて馬車を降りた私は、リオンに案内してもらい屋敷の中に入る。
この屋敷は別荘のようで、詳しい話は明日聞くと言われた私は休むことにしていた。
馬車の中で何が起きたのかは話したけど、リオンも私を消そうとしたダウロスとクラリィが許せないようだ。
部屋に案内してくれて、1人になった私はベッドに向かい眠ろうとしている。
今日は本当に疲れて……明日のことを考える。
「リオン様は協力させて欲しいと言ってくれました。それなら……明日、ダウロス達を後悔させるための計画を、リオン様に話しましょう」
迷いの森に捨てられた数時間の間、私は彷徨いながら後悔させるための計画を考えていた。
その方法をリオンには明日話すつもりだけど……出会うまで私1人で動くつもりだったから、協力してくれなくても構わない。
森で助けてくれただけで十分力になってくれたし、これ以上リオンに迷惑をかけたくなかった。
■◇■◇■◇■◇■
「俺はルカを消そうとしたダウロスが許せない。どんなことでも力になろう」
翌日になって――朝食の時に、リオンが私に言う。
別荘だから屋敷にいるのは私とリオン、そして食事を用意してくれた執事だけだ。
大広間のテーブル席で対面して食事をとっているけど、リオンの発言に私は驚いてしまう。
公爵家に迷惑かかりそうで計画を話すべきか悩み、それが顔に出てしまったのかもしれない。
昨日抱えながら運んでくれた時に「ダウロスを後悔させることができそう」と私は言ったから、リオンは詳しく聞きたいようだ。
「そう言ってくださるのは嬉しいのですが……その、リオン様の家に、迷惑がかかってしまいそうです」
「それは聞いてから俺が判断するし、とにかく話して欲しい」
「わかりました……私はここで匿ってもらい、ダウロスがミテラを新しい婚約者にしてから姿を現すつもりです」
その後――私は計画を全てリオンに話す。
本来は私が全部行動する予定だったけど、リオンが協力してくれるのなら私はこの屋敷にいた方がいい。
そのことを伝えると、リオンは頷いて。
「なるほど。ルカが話してくれた通りに行動すれば、ダウロスを必ず後悔させることができそうだ」
「私を匿ったり、情報収集をしてもらったりと……リオン様には、かなり迷惑をかけてしまいます」
「俺は迷惑と思わないが、ルカが迷惑だと思ってしまうのなら俺の頼みも聞いて欲しい」
「頼みですか?」
準備をするため私が動く予定が変わり、リオンが動いてくれるようだ。
リオンの頼みならなんでも聞きたいけど、今の私は目立ちたくない。
そんな私が、公爵令息のリオンに何かできるのだろうか?
不安になってしまうと……私は、リオンの発言に驚くこととなる。
「ダウロスがミテラを新しい婚約者にした後――ルカは、俺の婚約者になって欲しい」
「えっ?」
「そうすれば侯爵家のダロウスは、公爵家の俺がついているルカに何も言えなくなるし、その……いや、今は計画の方が大事だ!」
確かにリオンの提案通りにした方が、備えにはなるけど……リオン的には私が婚約者でいいのだろうか?
提案したのはリオンだからいいのだとは思うけど、そこまでダウロスを敵視している理由はわからない。
その方がダウロスを強く後悔させられそうだから、私は頷いて。
「わかりました。リオン様――これからよろしくお願いいたします!」
今の私はダウロスを後悔させることを優先したくて、リオンの提案に賛同する。
そして1カ月が経ち――ダウロスは、ミテラを婚約者にしていた。
馬車には食事が用意されていて、リオンは私が何も食べていないと推測していたようだ。
食事を終えると、リオンは何が起きたのかを話してくれる。
監視していたから迷いの森へ向かったのはわかったけど、気付かれないよう尾行していたから私の位置がわからなかったらしい。
リオンは1人で捜索していたけど、今日中に見つからなければ人を集めて探す予定だったと話してくれた。
「侯爵令息のダウロスを怪しんでいることは、あまり知られたくなかった……屋敷に到着したから、ルカはついてきて欲しい」
そう言われて馬車を降りた私は、リオンに案内してもらい屋敷の中に入る。
この屋敷は別荘のようで、詳しい話は明日聞くと言われた私は休むことにしていた。
馬車の中で何が起きたのかは話したけど、リオンも私を消そうとしたダウロスとクラリィが許せないようだ。
部屋に案内してくれて、1人になった私はベッドに向かい眠ろうとしている。
今日は本当に疲れて……明日のことを考える。
「リオン様は協力させて欲しいと言ってくれました。それなら……明日、ダウロス達を後悔させるための計画を、リオン様に話しましょう」
迷いの森に捨てられた数時間の間、私は彷徨いながら後悔させるための計画を考えていた。
その方法をリオンには明日話すつもりだけど……出会うまで私1人で動くつもりだったから、協力してくれなくても構わない。
森で助けてくれただけで十分力になってくれたし、これ以上リオンに迷惑をかけたくなかった。
■◇■◇■◇■◇■
「俺はルカを消そうとしたダウロスが許せない。どんなことでも力になろう」
翌日になって――朝食の時に、リオンが私に言う。
別荘だから屋敷にいるのは私とリオン、そして食事を用意してくれた執事だけだ。
大広間のテーブル席で対面して食事をとっているけど、リオンの発言に私は驚いてしまう。
公爵家に迷惑かかりそうで計画を話すべきか悩み、それが顔に出てしまったのかもしれない。
昨日抱えながら運んでくれた時に「ダウロスを後悔させることができそう」と私は言ったから、リオンは詳しく聞きたいようだ。
「そう言ってくださるのは嬉しいのですが……その、リオン様の家に、迷惑がかかってしまいそうです」
「それは聞いてから俺が判断するし、とにかく話して欲しい」
「わかりました……私はここで匿ってもらい、ダウロスがミテラを新しい婚約者にしてから姿を現すつもりです」
その後――私は計画を全てリオンに話す。
本来は私が全部行動する予定だったけど、リオンが協力してくれるのなら私はこの屋敷にいた方がいい。
そのことを伝えると、リオンは頷いて。
「なるほど。ルカが話してくれた通りに行動すれば、ダウロスを必ず後悔させることができそうだ」
「私を匿ったり、情報収集をしてもらったりと……リオン様には、かなり迷惑をかけてしまいます」
「俺は迷惑と思わないが、ルカが迷惑だと思ってしまうのなら俺の頼みも聞いて欲しい」
「頼みですか?」
準備をするため私が動く予定が変わり、リオンが動いてくれるようだ。
リオンの頼みならなんでも聞きたいけど、今の私は目立ちたくない。
そんな私が、公爵令息のリオンに何かできるのだろうか?
不安になってしまうと……私は、リオンの発言に驚くこととなる。
「ダウロスがミテラを新しい婚約者にした後――ルカは、俺の婚約者になって欲しい」
「えっ?」
「そうすれば侯爵家のダロウスは、公爵家の俺がついているルカに何も言えなくなるし、その……いや、今は計画の方が大事だ!」
確かにリオンの提案通りにした方が、備えにはなるけど……リオン的には私が婚約者でいいのだろうか?
提案したのはリオンだからいいのだとは思うけど、そこまでダウロスを敵視している理由はわからない。
その方がダウロスを強く後悔させられそうだから、私は頷いて。
「わかりました。リオン様――これからよろしくお願いいたします!」
今の私はダウロスを後悔させることを優先したくて、リオンの提案に賛同する。
そして1カ月が経ち――ダウロスは、ミテラを婚約者にしていた。
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