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第142話

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 私とニコラスは屋敷の外に出て、ラドンのいる方向を眺めていた。
 これからラドンは魔物と化し、私達の元へ向かってくるはずだ。

「転移の魔法道具を使った時点で焦っているはずなので、魔物と化したラドンは冷静になれないはずです」

 まだ準備は万全でなくても、私とニコラスを狙う可能性は高いようだ。
 そう考えていると、魔物の位置を察知する魔法道具が光り出す。
 ラドンは物凄い速度で、私達の屋敷に向かっているようだ。

「このままだと、数分もすればここに到着するでしょう」

 推測通りに行動しているけど、ラドンの魔力は更に増加している。
 完全な魔物と化すことで力を更に得て、この場にいる人達でも間違いなく敵わないようだ。

「魔剣の契約から、ラドンは私達しか狙わないはずです……攻撃を防げなかったとしても、聖獣が身代わりになってくれます」

 そう言って、私は小犬の聖獣を撫でる。
 ラドンを抑える力があって、攻撃を受けた場合は身代わりにもなるようだ。
 聖獣がいれば大丈夫だと考えていると、ニコラスが呟く。

「僕とルーナ様が作った聖獣です。失いたくはありません」

「ニコラス様……私も、同じ気持ちです」

 攻撃を受けなければ、破壊されることもない。
 備えはしていたけど――私も、聖獣を失いたくはなかった。
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