平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました

第５５話

ラドン視点

　試験が終わり、俺は城に戻ってから街へ向かっている。
　ミレサの処罰は後日決まるようで――俺は、ミレサの住む家に向かっていた。

　王都の近くに街に、ミレサは１人で暮らしている。
　今までミレサと仲がいい貴族の屋敷で話していたのは、街に済む人に王子の俺と関わっていること知られたくなかったようだ。

　それでも今は……ミレサの家で会うのが一番いいと、俺は考えていた。

■◇■◇■◇■◇■

　ミレサの家に到着して、部屋で俺は尋ねる。

「筆記試験で不正をする必要はなかったはず……ミレサは、どうして不正をしたんだ？」

「申し訳ありませんでした……ラドン様のために、ルーナ様よりも確実に上に立ちたかったのです」

　俺のためと言われるだけで、ミレサの行動を全て許していいと思うようになってしまう。
　ミレサは警告されている状態で、不正をしたことが発覚した。
　処罰になることは間違いないも、俺が庇えば処罰は軽くなるはずだ。

「そうか。俺はできる限りのことをしよう――それでも、次はないだろう」

「……はい」

　授業とは関係ない時に魔法でルーナを攻撃して、更に筆記試験で不正をした。
　これ以上は退学になりそうで、ミレサは行動するべきではない。

　そこまで考えていたのに――ミレサはまだ、行動を起こそうとしていた。