平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました

天宮有

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第43話

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 魔法学園は休日になって、普通なら明後日から筆記試験がはじまる。
 私は屋敷の応接室でニコラスを待ちながら、明後日のことを思案していた。

「明後日から、3日間の筆記試験……そこで、ミレサは私を貶めようとするはず」

 ベラから詳しく聞いていたけど、聞いた時点では魔法道具を準備できていないようだ。
 実行するのかどうか、ニコラスは調べると言ってくれた。

 そして――ニコラスが私の屋敷にやって来て、調べてくれたことを話す。

「ミレサはベラ様の言っていた魔法道具を入手できたようで、ルーナ様が不正をしたと思わせる準備ができたようです」

「それなら筆記試験の時に、ミレサが行動しそうですね」

「はい……ミレサだけ警戒していたら、気づくことはできませんでした」

 ニコラスはこの1週間の間に、ミレサの手下を何人か説得することができたようだ。
 ベラ経由で知ったからこその行動だと思うけど、行動力の凄さに驚いてしまう。

「ニコラス様、ありがとうございます……ミレサは、ニコラスが動いていることを何も知らないのですね」

「ミレサに話す理由がありませんし、知らないはずです」

 ラドンの評判が下がり、ミレサも処罰されている。
 その状況でホークル公爵家とフロース公爵家を敵に回すのか聞かれれば、屈する人は出そうだ。

「変化を嫌う人もいるので、確実に成功する人だけを選びましたけど……手下の約半数は、ミレサを裏切っています」

「十分ですね……明後日の行動についても、事前に手を打っています」

 かなり無茶な方法だと思うけど、ニコラスが協力してくれたことで問題なさそうだ。
 ラドンとミレサは私を貶めようと考えているけど――事前に知っている私は、対処することにしていた。
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