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第4話
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私が婚約破棄を言い渡してから、数日が経っていた。
手続きが終わって――これでもう、私はラドン王子に従わなくていい。
朝食を終えると、お父様が私に話す。
「ラドン殿下の思い通りになってしまったが、ルーナは本当に大丈夫なのか?」
お父様が私を心配するけど、私としてはフロース公爵家が心配になってしまう。
フロース公爵家は、婚約破棄をしたことで評判が少し落ちているようだ。
私の自分勝手な嫉妬によるものだと思われていることが理由だから、仕方ないと思っている。
「私は大丈夫ですけど、フロース家の方が心配です」
「王家から膨大な慰謝料をもらっている……ルーナが正しいと考える貴族の人達もいるから、そこまで問題にはならなかったようだ」
あの場でミレサを虐げていたことを認めていたら、私が全て悪いと思われていたはず。
証拠がないと言い切ったことで、婚約者がいるのに平民に優しくしているラドンも悪いと考えている貴族の人達もいるようだ。
本来ラドンの予定とは違うけど……私はあの場で、何もしていないのに捏造された罪を認めたくはない。
私は魔法学園に向かって、復讐を実行しようとしていた。
■◇■◇■◇■◇■
魔法学園に登校して、私は席に座る。
王子に婚約破棄を言い渡したことで、クラスの生徒達は私を避けるようになっていた。
「今の私はラドン殿下に敵視されていますし、仕方ないですね」
婚約破棄を宣言してから、ラドンは私のことを敵視している。
そして虐げられていたミレサを守るためにと、ラドンは常にミレサの傍にいた。
それをミレサは嬉しそうにしていて、2人の仲はよくなっていく。
実際は以前からラドンは浮気をしていたけど……ラドンは、ミレサを新しい婚約者にする準備をしていた。
避けられている状況にもなれてきて、授業がはじまり私達は教室から広場に移動する。
今日は魔法の対人授業があって、お互いが魔法を使い打ち消し合うというものだ。
魔法を問題なく扱える広大な広場で、私とミレサが距離をあけて対面している。
中央には先生がいて、離れた場所には生徒達が私とミレサを眺めていた。
魔法の対人授業は、お互いが魔法による攻防を行う。
私とミレサの目の前には魔法道具の人形があって、その人形が魔法使いというイメージで戦うこととなる。
人形の魔法道具は、後方にいる生徒を守る力があるようだ。
これによってお互い負傷することはなく、魔法による勝負を行うことができていた。
魔力が半分を切ると腕輪の魔法道具が光って、勝敗が出て試合が終わる。
成績的に私の相手はミレサになることが多くて、今まで私は一度もミレサには勝てなかった。
「魔法使いとして差を見せつけられたから、嫉妬で私を虐げる……疑われているのは、私に負けているからではありませんか?」
最近ミレサは、ラドンの婚約者になれるからか増長していた。
嘲笑するような表情を浮かべているけど、私は冷静に返答する。
「それなら、私がミレサ様に勝てば――虐げる理由はなくなりますね」
会話をしていたけど、先生の合図が出て戦闘が始まる。
今まではミレサに勝てなかったけど、今の私は違った。
――ラドンに復讐するために、この場でミレサより上だと証明する。
今まで順位にこだわらなかった私は、はじめて誰かを倒したいと決意した。
意志の強さが魔法には重要で、私の魔法はミレサの魔法を圧倒していく。
そして――魔法の授業で、私はミレサに勝利することができた。
力の差を見せつけられて尻もちをつき呆然としているミレサに、私は告げる。
「嫉妬によるものでしょうか――今の私は、ミレサ様より上のようです」
ラドンとしては、これからも私が順位が負けている嫉妬でミレサを虐げていることにしたかったはず。
私がミレサよりも上と証明することで――ラドンは、後悔しはじめていた。
手続きが終わって――これでもう、私はラドン王子に従わなくていい。
朝食を終えると、お父様が私に話す。
「ラドン殿下の思い通りになってしまったが、ルーナは本当に大丈夫なのか?」
お父様が私を心配するけど、私としてはフロース公爵家が心配になってしまう。
フロース公爵家は、婚約破棄をしたことで評判が少し落ちているようだ。
私の自分勝手な嫉妬によるものだと思われていることが理由だから、仕方ないと思っている。
「私は大丈夫ですけど、フロース家の方が心配です」
「王家から膨大な慰謝料をもらっている……ルーナが正しいと考える貴族の人達もいるから、そこまで問題にはならなかったようだ」
あの場でミレサを虐げていたことを認めていたら、私が全て悪いと思われていたはず。
証拠がないと言い切ったことで、婚約者がいるのに平民に優しくしているラドンも悪いと考えている貴族の人達もいるようだ。
本来ラドンの予定とは違うけど……私はあの場で、何もしていないのに捏造された罪を認めたくはない。
私は魔法学園に向かって、復讐を実行しようとしていた。
■◇■◇■◇■◇■
魔法学園に登校して、私は席に座る。
王子に婚約破棄を言い渡したことで、クラスの生徒達は私を避けるようになっていた。
「今の私はラドン殿下に敵視されていますし、仕方ないですね」
婚約破棄を宣言してから、ラドンは私のことを敵視している。
そして虐げられていたミレサを守るためにと、ラドンは常にミレサの傍にいた。
それをミレサは嬉しそうにしていて、2人の仲はよくなっていく。
実際は以前からラドンは浮気をしていたけど……ラドンは、ミレサを新しい婚約者にする準備をしていた。
避けられている状況にもなれてきて、授業がはじまり私達は教室から広場に移動する。
今日は魔法の対人授業があって、お互いが魔法を使い打ち消し合うというものだ。
魔法を問題なく扱える広大な広場で、私とミレサが距離をあけて対面している。
中央には先生がいて、離れた場所には生徒達が私とミレサを眺めていた。
魔法の対人授業は、お互いが魔法による攻防を行う。
私とミレサの目の前には魔法道具の人形があって、その人形が魔法使いというイメージで戦うこととなる。
人形の魔法道具は、後方にいる生徒を守る力があるようだ。
これによってお互い負傷することはなく、魔法による勝負を行うことができていた。
魔力が半分を切ると腕輪の魔法道具が光って、勝敗が出て試合が終わる。
成績的に私の相手はミレサになることが多くて、今まで私は一度もミレサには勝てなかった。
「魔法使いとして差を見せつけられたから、嫉妬で私を虐げる……疑われているのは、私に負けているからではありませんか?」
最近ミレサは、ラドンの婚約者になれるからか増長していた。
嘲笑するような表情を浮かべているけど、私は冷静に返答する。
「それなら、私がミレサ様に勝てば――虐げる理由はなくなりますね」
会話をしていたけど、先生の合図が出て戦闘が始まる。
今まではミレサに勝てなかったけど、今の私は違った。
――ラドンに復讐するために、この場でミレサより上だと証明する。
今まで順位にこだわらなかった私は、はじめて誰かを倒したいと決意した。
意志の強さが魔法には重要で、私の魔法はミレサの魔法を圧倒していく。
そして――魔法の授業で、私はミレサに勝利することができた。
力の差を見せつけられて尻もちをつき呆然としているミレサに、私は告げる。
「嫉妬によるものでしょうか――今の私は、ミレサ様より上のようです」
ラドンとしては、これからも私が順位が負けている嫉妬でミレサを虐げていることにしたかったはず。
私がミレサよりも上と証明することで――ラドンは、後悔しはじめていた。
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