「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう

第９話

　私が魔石の確認をしていくと、ヒュームのビトーレ公爵家の力になることができたようだ。

　魔法道具に関わることで、私は今を楽しんでいる。
　モグルドの無茶な命令がなくなり、ヒュームと一緒にいられることが嬉しかった。

　作業を終えて、私は部屋でヒュームと話をしている。
　どうやらモグルドは、婚約者を変えたことを後悔しているようだ。

「王家が扱う魔法道具の質が、急激に落ちたと噂になっている。ルナがいないから仕方ないことだ」

　ヒュームの発言を聞き、私は城にいた時を思い返す。
　城で働く魔法道具の職人達は優秀だけど、私がそれ以上とよく言われていた。
　意見を何度も求められて応えてきたけど、その私がいなくなったことで問題が起きているようだ。

「そしてモグルドが魔法道具の職人達に暴言を吐き、辞める者が増えているらしい……陛下は、モグルドを処罰したようだ」

　国王から糾弾されてモグルドは反省したようだけど、本心なのかはわからない。
　ヒュームはこれからのモグルドの行動を予測して、私と会わせないようにしていた。