婚約破棄ですか? どうなっても知りませんよ

天宮有

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第43話

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ドリアス視点

 俺はヤミーから杭の魔法道具を受け取り、キャシーに刺そうとしていた。
 肉体に刺されば数分かけて記憶を奪い取り、壊すことは不可能らしい。

 ――刺せば全てが終わる。
 アルクという伯爵貴族の邪魔が入るも、俺は行動に出ていた。

「キャシィィッ――ッ!!」

 今までの恨みを全て込めた、俺の未来が決まる行動。
 杭の先端をキャシーに向けながら、俺は正面に全力で走る。

 そして――キャシーが手の平から魔力を飛ばし、俺は吹き飛んでいく。
 激痛で意識が飛びそうになる中で、俺はヤミーの発言を思い返していた。

「――殿下が刺せば最善、失敗しても次善の策がありますので……失敗したとしても大丈夫です」

 俺如きが、キャシーを相手に杭を刺せるだなんて思っていない。
 特攻したことで対処させて、もうこれで全てが解決したと考えるだろう。

 この策はヤミーが立てたもので、ここからが本番だ。
 俺は床に背中を打ちつけながらも、キャシーの方に目をやる。

 皆が凶器を持った俺に注目している中――キャシーの背後から、杭を持ったヤミーが迫る。

 これで計画通りだと確信した俺はこれから起こる出来事に驚愕し、絶望することとなる。
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