婚約破棄ですか? どうなっても知りませんよ

天宮有

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第41話

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 私はアルクの背中越しに、ドリアス殿下と話をする。

「ドリアス殿下」

「キャシーよ! 立場を知らない男に絡まれて迷惑していただろう。俺が――」

「――アルク様は私の新しい婚約者……元婚約者のドリアス殿下を関わらせたくないのは当然の行動です」

「……なに!?」

 ドリアス殿下と決別するためにも、私はもうアルクと婚約者になったと嘘の宣言をする。
 周囲がざわめいているけど……私はアルクの好意を知って、いつか婚約者になろうと考えていた。
 
 後で報告するか、今先に宣言するかの違いでしかない。
 そう考えながらも、私は顔が赤くなっているのを実感して、前からアルクの声が響く。

「キャシー様の言うとおり。私はキャシー様の新しい婚約者です!」

 動揺しながらも、私の意図を察してくれたようで断言してくれる。
 自信に満ちているアルクの姿を見て、本当にアルクと婚約者になりたいと私は想うようになっていた。

 そして――顔は見えていないけど、ドリアス殿下の困惑した声が響く。

「馬鹿な! いや、まだだ……」

 悔しそうな声が聞こえたかと思えば、小声で決心を強めた呟きが聞こえる。
 今までと違って――ドリアス殿下が何を企んでいるのか、私はまったくわからなかった。
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