婚約破棄ですか? どうなっても知りませんよ

天宮有

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第40話

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 私の目の前にはドリアス殿下がいて……警戒心を強めるしかない。

「ドリアス殿下……貴方がどうして、ここにいるのですか?」

「貴様は確か、伯爵家のアルクだったか……俺はキャシーに用がある。そこをどけ」

「私のような者を知っててくさることに驚きました。お断りします」

 ドリアス殿下が正面にいるけど、私の前にはアルクがいる。
 何をしでかすかわからないドリアス殿下に対して、アルクが盾になってくれていた。

「ぐっ……伯爵貴族如きが、俺の命令を断るだと!?」

「貴方がキャシー様にとった行動を考えれば、同然だと思います」

「俺と対等に話せると思っているのか!」

 アルクの発言に対して、ドリアス殿下は権力を使おうとしている。
 会場内がざわめいているけど、私としてはドリアス殿下がどうしているのかが気になってしまう。

 牢に入れられているはずだけど、陛下が許可を出したのだろうか?
 何か理由があるはずだと考えているけど、私は何も思いつかない。

 とにかく――伯爵貴族だと見下しているドリアス殿下は、アルクの話を聞く気がない。
 ここでドリアス殿下と決別したかった私は、二人の会話に入ろうとしていた。
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