婚約破棄ですか？ どうなっても知りませんよ

第１６話

　私は言いたいことを言い終えて、ドリアス殿下は唖然としている。
　必死な様子のドリアス殿下は、教室から出て行く気がない。

　ここまで言われても魔方陣を稼働させたくないらしく――必死に叫ぶことで、私を脅し続けていた。

　激昂して「お前が悪い」「俺に従え」と叫び続けるけど、それが教室内での評判を悪くする。
　教室で昼食をとりたい生徒には迷惑でしかないだろうから……私は、ドリアス殿下に告げる。

「ドリアス殿下」

「なんだ！　ようやく自分が愚かだと理解したか！」
　
「昼食をとりたいので、教室にお戻りください――今日のことは、全て陛下に報告致します」

「ぐぅっっ！？」

　あまりにもしつこいから――陛下に伝えると、私は宣言する。

　伝えるのは教室内で魔方陣について話したこと。
　そして私に魔方陣を稼働させろと命令してきたことだ。

　これでアルロン公爵家も支援の量を減らせるし、陛下はドリアス殿下に激昂する。
　魔方陣に関しては私も時々寿命を僅かに減らしていたから、もう二度としたくない。
　
「おっ、覚えておけ！！」

　叫びながら、慌てたドリアス殿下が教室から逃げ去って行く。
　そんな殿下の背中を眺めながら、私は小声で呟いた。

「……本当に、予想通り行動するわね」

　私は今日のドリアス殿下の行動を思い返し、呆れるしかなかった。