11 / 46
第11話
しおりを挟む
ドリアス視点
時間は5日前――俺が魔方陣の魔道具を使う時まで遡る。
魔方陣を起動させた時――魔力を操作する寸前まで、父上が大げさに言っているだけだと考えていた。
実際は全然違い、俺と婚約者クノレラは地獄の苦しみを約1時間も受け続けて、何度も死を覚悟する。
そして1時間後……生き延びたのが信じられないほどの苦痛を受けた俺とクノレラは、呆然としている。
外傷はないが魂を削るという行為の危険さを身をもって知り、背後から監視者の声が聞こえた。
「稼働の成功を確認しました……お疲れ様です」
魔方陣が停止すると、徐々に力が弱まっていくらしい。
数日は大丈夫だと聞いているも、父上はすぐ再び稼働させたいようだ。
背後で突っ立っているだけの監視者がいるから、俺達は逃げることができない。
反射的に地下室から出ようとすると押し返されて、魔力操作が勝手に続行されて俺は苦しみ続けていた。
「馬鹿な……なぜ俺が、こんな目に合っている……」
そう呟きながら隣を見ると……意識を朦朧とさせているクノレラが、虚ろな眼で俺をじっと眺めている。
どうしてこんな目に合わせるのか。
婚約すべきではなかった……そう目で訴えてきて、俺は監視者に叫ぶ。
「俺はこの国の王子でクノレラは俺の婚約者だ! こんな目に合わせてただで済むと思うな――」
「――次は恐らく3ケ月後になります。言いたいことがあるのなら陛下に仰ってください」
そう言って監視者が地下室から出て行き、俺達は呆然とするしかない。
「な、なっ……3カ月? ここまで苦しんで、たったの3カ月だと?」
あまりにも非道な行為で、国が機密とする理由がわかる。
そして――もう二度と魔方陣を起動させたくないと考えて俺は閃く。
「そうだ。今までキャシーが問題なく行っていたのなら、同じようにすればいい!!」
この時の俺は、そう考えて――意識を失うことになる。
即座に行動しようと考えていたのに、これから数日間、俺は地獄の苦しみを受け続けていた。
時間は5日前――俺が魔方陣の魔道具を使う時まで遡る。
魔方陣を起動させた時――魔力を操作する寸前まで、父上が大げさに言っているだけだと考えていた。
実際は全然違い、俺と婚約者クノレラは地獄の苦しみを約1時間も受け続けて、何度も死を覚悟する。
そして1時間後……生き延びたのが信じられないほどの苦痛を受けた俺とクノレラは、呆然としている。
外傷はないが魂を削るという行為の危険さを身をもって知り、背後から監視者の声が聞こえた。
「稼働の成功を確認しました……お疲れ様です」
魔方陣が停止すると、徐々に力が弱まっていくらしい。
数日は大丈夫だと聞いているも、父上はすぐ再び稼働させたいようだ。
背後で突っ立っているだけの監視者がいるから、俺達は逃げることができない。
反射的に地下室から出ようとすると押し返されて、魔力操作が勝手に続行されて俺は苦しみ続けていた。
「馬鹿な……なぜ俺が、こんな目に合っている……」
そう呟きながら隣を見ると……意識を朦朧とさせているクノレラが、虚ろな眼で俺をじっと眺めている。
どうしてこんな目に合わせるのか。
婚約すべきではなかった……そう目で訴えてきて、俺は監視者に叫ぶ。
「俺はこの国の王子でクノレラは俺の婚約者だ! こんな目に合わせてただで済むと思うな――」
「――次は恐らく3ケ月後になります。言いたいことがあるのなら陛下に仰ってください」
そう言って監視者が地下室から出て行き、俺達は呆然とするしかない。
「な、なっ……3カ月? ここまで苦しんで、たったの3カ月だと?」
あまりにも非道な行為で、国が機密とする理由がわかる。
そして――もう二度と魔方陣を起動させたくないと考えて俺は閃く。
「そうだ。今までキャシーが問題なく行っていたのなら、同じようにすればいい!!」
この時の俺は、そう考えて――意識を失うことになる。
即座に行動しようと考えていたのに、これから数日間、俺は地獄の苦しみを受け続けていた。
46
お気に入りに追加
3,322
あなたにおすすめの小説
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

私を売女と呼んだあなたの元に戻るはずありませんよね?
ミィタソ
恋愛
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。
レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。
アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。
ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。
そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。
上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。
「売女め、婚約は破棄させてもらう!」
ヒロインは辞退したいと思います。
三谷朱花
恋愛
リヴィアはソニエール男爵の庶子だった。15歳からファルギエール学園に入学し、第二王子のマクシム様との交流が始まり、そして、マクシム様の婚約者であるアンリエット様からいじめを受けるようになった……。
「あれ?アンリエット様の言ってることってまともじゃない?あれ?……どうして私、『ファルギエール学園の恋と魔法の花』のヒロインに転生してるんだっけ?」
前世の記憶を取り戻したリヴィアが、脱ヒロインを目指して四苦八苦する物語。
※アルファポリスのみの公開です。

そちらがその気なら、こちらもそれなりに。
直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。
それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。
真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。
※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。
リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。
※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。
…ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº…
☻2021.04.23 183,747pt/24h☻
★HOTランキング2位
★人気ランキング7位
たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*)
ありがとうございます!

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる