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第7話
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ドリアス視点
父上に呼び出されたかと思えば、魔法学園で留年すれば勘当だと言われてしまう。
覚悟を決めて必死に学ぶしかないと決意している中、陛下は俺に告げる。
「本題に入ろう」
「なっ……呼び出した理由は、俺の成績のことではないのですか?」
「違う。そんなことは些細なことだ……これからお前には、ある魔法道具を使ってもらう」
そして――陛下が、俺に魔法道具の説明を始める。
城の地下に存在する魔方陣で、数ヶ月に一度魔力を込める必要があるらしい。
大国と呼ばれるほどの国には必ずあるらしく、周囲に宿る大地の魔力を活性化させる効果があるらしい。
魔方陣を稼働させるための魔力は大地の魔力を利用するため、操作するために必要なのはセンスらしい。
「今まではキャシー様が問題なく使っていたが婚約を破棄した以上、誰かが使わねばならん」
「そんな……今まで通りキャシーが操作すればよいではないですか!?」
俺は、思わず叫んでしまう。
婚約破棄しようと国の民である以上、キャシーが魔法道具を使えばいい。
そう考えていたのに――陛下は呆れた様子で呟く。
「魔方陣の力を聞いても理解できないのか……膨大な力を操作するのは、かなり危険だ」
「それはわかっています! なぜそんな代物の操作を、王子である俺が行わなければならないのですか!?」
思わず叫ぶと、陛下は激怒して俺に対して怒鳴る。
「お前が婚約を破棄したからに決まっているだろう!!」
「ぐっっ……」
「魔方陣の魔法道具はデルグライ国の核だ。一部の者しか教えられん」
確かに、王子である俺も今まで知り得なかった魔法道具だ。
扱えるわけがないと考えてしまう中、陛下の発言が続く。
「お前には何も期待していない……操作を間違えても肉体に負荷がかかるだけで、問題なく魔方陣は力を発揮するだろう」
「国全体を支えるほど膨大な魔力ですよ……コントロールできなければ、俺の寿命が減るでしょう」
俺が最悪の事態を話すと、父上は感心した表情を浮かべる。
そこまで考えたことに驚いている様子で、頷きながら話す。
「よくわかっているではないか。キャシー様を婚約破棄したのはお前なのだから、お前が代わりになるしかない」
「そんな……」
無茶苦茶だと言いたくなるも、俺は父上の思惑を理解している。
俺が魔方陣の生贄になれば、いずれ愚息が消えてくれるだろうと思っているに違いない。
断ればどんなめに合うかわからない以上……俺は、陛下の指示に従うしかなかった。
父上に呼び出されたかと思えば、魔法学園で留年すれば勘当だと言われてしまう。
覚悟を決めて必死に学ぶしかないと決意している中、陛下は俺に告げる。
「本題に入ろう」
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そして――陛下が、俺に魔法道具の説明を始める。
城の地下に存在する魔方陣で、数ヶ月に一度魔力を込める必要があるらしい。
大国と呼ばれるほどの国には必ずあるらしく、周囲に宿る大地の魔力を活性化させる効果があるらしい。
魔方陣を稼働させるための魔力は大地の魔力を利用するため、操作するために必要なのはセンスらしい。
「今まではキャシー様が問題なく使っていたが婚約を破棄した以上、誰かが使わねばならん」
「そんな……今まで通りキャシーが操作すればよいではないですか!?」
俺は、思わず叫んでしまう。
婚約破棄しようと国の民である以上、キャシーが魔法道具を使えばいい。
そう考えていたのに――陛下は呆れた様子で呟く。
「魔方陣の力を聞いても理解できないのか……膨大な力を操作するのは、かなり危険だ」
「それはわかっています! なぜそんな代物の操作を、王子である俺が行わなければならないのですか!?」
思わず叫ぶと、陛下は激怒して俺に対して怒鳴る。
「お前が婚約を破棄したからに決まっているだろう!!」
「ぐっっ……」
「魔方陣の魔法道具はデルグライ国の核だ。一部の者しか教えられん」
確かに、王子である俺も今まで知り得なかった魔法道具だ。
扱えるわけがないと考えてしまう中、陛下の発言が続く。
「お前には何も期待していない……操作を間違えても肉体に負荷がかかるだけで、問題なく魔方陣は力を発揮するだろう」
「国全体を支えるほど膨大な魔力ですよ……コントロールできなければ、俺の寿命が減るでしょう」
俺が最悪の事態を話すと、父上は感心した表情を浮かべる。
そこまで考えたことに驚いている様子で、頷きながら話す。
「よくわかっているではないか。キャシー様を婚約破棄したのはお前なのだから、お前が代わりになるしかない」
「そんな……」
無茶苦茶だと言いたくなるも、俺は父上の思惑を理解している。
俺が魔方陣の生贄になれば、いずれ愚息が消えてくれるだろうと思っているに違いない。
断ればどんなめに合うかわからない以上……俺は、陛下の指示に従うしかなかった。
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