2 / 46
第2話
しおりを挟む
ドリアス王子視点
「キャシー様との婚約を破棄したのは本当か!?」
婚約破棄を宣言した翌日、俺は婚約者クノレラと共に父である陛下に呼び出されていた。
今後の話をするのかと想定しているも、いきなり大広間で怒鳴られたことに驚くしかない。
「父上、本当のことですが……どうしてそこまで怒っているのですか?」
「ドリアス殿下の言う通りです。キャシー様は私に嫌がらせをしてきました。そんな酷い方はデルグライ家に相応しくありません」
「その話は聞いたがキャシー様は否定している。証拠はあるのか?」
魔法道具を使えば音声や映像の記録は可能だ。
証拠を用意できるというのに何もないことで、パーティ会場の貴族達も信じていない者が半数近くいた。
学園の生徒……キャシーの友人達に証言を捏造させれば、どうにかなると俺は考えていた。
集団の圧力に負けて認めるしかないと考えていたのに、まさかキャシーが反論してくるとは思わなかった。
「証拠はなくとも学園の生徒達の証言があります」
「それはクノレラの友人だと聞いているが、真実なのか?」
「ひっ……」
呆れた様子で陛下が眺めたことで、クノレラは恐怖している。
昨日の夜、俺が焦るなと言い聞かせてもこの反応な辺り、見た目以外はダメな女だと思うしかない。
「父上は、クノレラが嫌がらせを受けたことが信じられないようですね」
「理由がないからな……ドリアスよ。今後お前は、今まで通り甘やかされるとは思わぬことだ」
「そ、それは……どういう、意味ですか?」
いきなり突き放されて俺は動揺すると、父上はとんでもないことを告げる。
「他の息子達は優秀だが――お前は無能だ」
「なっ……!?」
「魔法に秀でたアルロン家の令嬢と婚約していたから、お前には価値があったが……こうなると勘当もありえるぞ」
「ど、どういうことですか!?」
いきなり勘当もありえると言われたことで、俺は取り乱すしかない。
隣のクノレラも驚いている様子で、俺達を眺めながら陛下は溜息を吐く。
「言っても信じないだろう……しばらくすればわかることだ」
この時の俺は、ただキャシーとの婚約を破棄したことが、父上は気に入らないのだと考えていた。
惚れてしまったのだから、俺はクノレラを婚約者にしなければ後悔していただろう。
それなら婚約していたのは間違いではないと、この時の俺は考えている。
動揺させるために父が大げさに言っているだけだと思い込み……これから俺は、婚約破棄したことを後悔することとなる。
「キャシー様との婚約を破棄したのは本当か!?」
婚約破棄を宣言した翌日、俺は婚約者クノレラと共に父である陛下に呼び出されていた。
今後の話をするのかと想定しているも、いきなり大広間で怒鳴られたことに驚くしかない。
「父上、本当のことですが……どうしてそこまで怒っているのですか?」
「ドリアス殿下の言う通りです。キャシー様は私に嫌がらせをしてきました。そんな酷い方はデルグライ家に相応しくありません」
「その話は聞いたがキャシー様は否定している。証拠はあるのか?」
魔法道具を使えば音声や映像の記録は可能だ。
証拠を用意できるというのに何もないことで、パーティ会場の貴族達も信じていない者が半数近くいた。
学園の生徒……キャシーの友人達に証言を捏造させれば、どうにかなると俺は考えていた。
集団の圧力に負けて認めるしかないと考えていたのに、まさかキャシーが反論してくるとは思わなかった。
「証拠はなくとも学園の生徒達の証言があります」
「それはクノレラの友人だと聞いているが、真実なのか?」
「ひっ……」
呆れた様子で陛下が眺めたことで、クノレラは恐怖している。
昨日の夜、俺が焦るなと言い聞かせてもこの反応な辺り、見た目以外はダメな女だと思うしかない。
「父上は、クノレラが嫌がらせを受けたことが信じられないようですね」
「理由がないからな……ドリアスよ。今後お前は、今まで通り甘やかされるとは思わぬことだ」
「そ、それは……どういう、意味ですか?」
いきなり突き放されて俺は動揺すると、父上はとんでもないことを告げる。
「他の息子達は優秀だが――お前は無能だ」
「なっ……!?」
「魔法に秀でたアルロン家の令嬢と婚約していたから、お前には価値があったが……こうなると勘当もありえるぞ」
「ど、どういうことですか!?」
いきなり勘当もありえると言われたことで、俺は取り乱すしかない。
隣のクノレラも驚いている様子で、俺達を眺めながら陛下は溜息を吐く。
「言っても信じないだろう……しばらくすればわかることだ」
この時の俺は、ただキャシーとの婚約を破棄したことが、父上は気に入らないのだと考えていた。
惚れてしまったのだから、俺はクノレラを婚約者にしなければ後悔していただろう。
それなら婚約していたのは間違いではないと、この時の俺は考えている。
動揺させるために父が大げさに言っているだけだと思い込み……これから俺は、婚約破棄したことを後悔することとなる。
47
お気に入りに追加
3,322
あなたにおすすめの小説
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

私を売女と呼んだあなたの元に戻るはずありませんよね?
ミィタソ
恋愛
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。
レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。
アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。
ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。
そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。
上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。
「売女め、婚約は破棄させてもらう!」
ヒロインは辞退したいと思います。
三谷朱花
恋愛
リヴィアはソニエール男爵の庶子だった。15歳からファルギエール学園に入学し、第二王子のマクシム様との交流が始まり、そして、マクシム様の婚約者であるアンリエット様からいじめを受けるようになった……。
「あれ?アンリエット様の言ってることってまともじゃない?あれ?……どうして私、『ファルギエール学園の恋と魔法の花』のヒロインに転生してるんだっけ?」
前世の記憶を取り戻したリヴィアが、脱ヒロインを目指して四苦八苦する物語。
※アルファポリスのみの公開です。

そちらがその気なら、こちらもそれなりに。
直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。
それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。
真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。
※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。
リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。
※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。
…ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº…
☻2021.04.23 183,747pt/24h☻
★HOTランキング2位
★人気ランキング7位
たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*)
ありがとうございます!

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる