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第64話

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 私は平原で魔物達の大襲撃に備えているけど、かなり緊張していた。

「これから……魔物の大軍が、王都に向かって侵攻するのですね」

 今までの襲撃も相当な数だったけど、私とアインと冒険者の人達なら問題なかった。

 最初に襲撃を対処した時は驚いたもので、それより規模が大きいと不安になってしまう。

「俺がいますし、セリスは何も心配することはありません……今までの魔物の群れの襲撃とやることは同じ、時間が数日かかるというだけです」

 実際は今回の魔物達は強くなっているようだけど、私を安心させるためにアインが説明してくれる。

 冒険者ギルドとしても最善を尽くしていたから、予想外の事態が起きない限りは王都に被害が出ることはないようだ。

 不安要素があるとすれば聖女ローナとジェイク、兵士達で……何をしてきてもおかしくはない。

 冒険者ギルドに頼りきりだと、サイール国の防衛力の低さが他国に知られてしまう。

 聖女がいる国として有名なサイール国としては、兵士達が活躍して欲しいのだとは思う。

 私の力がない聖女ローナが、活躍するとは思えない。

「……レイドロ家とクアノウ家は、終わりですね」

 私は思わず呟いて――数時間後、何もない空間に亀裂が入る。

 まるで扉のように亀裂が広がって……そこから現れた魔物の大軍が、王都に向かおうとしていた。
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