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第6話

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 アインに冒険者にならないか提案を聞いて、私は戸惑っていた。

「冒険者、ですか?」

「はい。セリス様の回復魔法は素晴らしかった……これから俺と一緒に冒険者として、仲間として行動して欲しいと思っています」
 
 アインは昔を思い出して、私に冒険者になって欲しいと話してくれる。

 その前に気になることがあったから、私はアインに言う。

「アイン。私はもう平民なので、セリスでいいです」

「そうですね。俺としては一生敬うべき人なので様付けの方がよかったのですが、そう言うのならそうしましょう」

 どうやら私が思っていた以上に、アインは過去の出来事が大切な様子だ。

 敬語は止めず、アインが私に話す。

「セリスは後ろにいるだけで構いません。俺が必ず守ります」

「これからどうすればいいのかわからなかったから、そう言ってくれるのは嬉しいけど……私は、アインの足手纏いになりませんか?」

 私は気になっていたことを尋ねると、アインが首を左右に振るう。

「魔力を取り戻したセリスなら、冒険者として大活躍できます――俺は、これが運命だと思っているほどです」

 運命……確かに、ジェイクが魔力を奪わなければ、私は普通に暮らしていた気がする。

 ジェイクが欲張って私の魔力を全て奪うなんて考えたからこそ、私はアインと再会することができた。

「そうですね……私は、冒険者になります」

 運命と言われたことに納得して――私は、冒険者になることを決意していた。
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