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第5話
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数日が経って、私はユアンの提案通りに行動する。
いつものように魔法道具店を経営している中で、ギアノ国の聖女について話していた。
魔法道具の店だから、魔法道具の話をしてもおかしくない。
勘当を言い渡された侯爵令嬢のルクルは、魔力の流れを見極めて異常を知る魔法道具を作ろうとしていた。
店主のユアンはルクルの協力者ということにして、詳しく知っていたことにする。
そして聖女のベネサが、人を魅了する魔法道具を作ったと罪を捏造してルクルを追い出した。
ユアンが協力者以外は真実で、ベネサが急に聖女になったことを怪しんでいる人は多い。
貴族の人達もユアンの魔法道具店を利用していたから、噂を広めることができていた。
営業時間が終わり、部屋で私はユアンと話をしている。
「数日の間、聖女のベネサを怪しませるよう噂を流していますけど……大丈夫でしょうか?」
もしベネサが知ると、ここに乗り込んでくるかもしれない。
それが不安だけど、ユアンは余裕そうに微笑んでいる。
「ほとんど事実だから、もし乗り込んできたとしても問題ない。むしろ今ルクルと作っている魔法道具が完成したら、ここに来て欲しいぐらいだ」
私はユアンに全て話してから、再び魔力の流れを見極める魔法道具を作っていた。
ほとんど完成していたこともあり、ユアンが協力してくれるから数日後には完成しそうだ。
「確かに、そうですね」
「悪いのは全てベネサとエドガーだから、ルクルが気にすることは何もない」
「はい。ありがとうございます」
ユアンがそう言ってくれて、私は安堵していた。
そして――これからベネサとエドガーは、後悔の日々を送ることとなる。
いつものように魔法道具店を経営している中で、ギアノ国の聖女について話していた。
魔法道具の店だから、魔法道具の話をしてもおかしくない。
勘当を言い渡された侯爵令嬢のルクルは、魔力の流れを見極めて異常を知る魔法道具を作ろうとしていた。
店主のユアンはルクルの協力者ということにして、詳しく知っていたことにする。
そして聖女のベネサが、人を魅了する魔法道具を作ったと罪を捏造してルクルを追い出した。
ユアンが協力者以外は真実で、ベネサが急に聖女になったことを怪しんでいる人は多い。
貴族の人達もユアンの魔法道具店を利用していたから、噂を広めることができていた。
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「数日の間、聖女のベネサを怪しませるよう噂を流していますけど……大丈夫でしょうか?」
もしベネサが知ると、ここに乗り込んでくるかもしれない。
それが不安だけど、ユアンは余裕そうに微笑んでいる。
「ほとんど事実だから、もし乗り込んできたとしても問題ない。むしろ今ルクルと作っている魔法道具が完成したら、ここに来て欲しいぐらいだ」
私はユアンに全て話してから、再び魔力の流れを見極める魔法道具を作っていた。
ほとんど完成していたこともあり、ユアンが協力してくれるから数日後には完成しそうだ。
「確かに、そうですね」
「悪いのは全てベネサとエドガーだから、ルクルが気にすることは何もない」
「はい。ありがとうございます」
ユアンがそう言ってくれて、私は安堵していた。
そして――これからベネサとエドガーは、後悔の日々を送ることとなる。
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