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第14話
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レヴォク視点
婚約破棄を言い渡した翌日――今日は、俺の元に売られたシーラが来ることとなっている。
ルザード家に会うため廊下を歩き応接室に向かっている最中、俺は呟く。
「これで俺達は更に飛躍することができるだろう。シーラを奴隷にすれば、もう逃げられることを心配しなくていい!」
奴隷にする首輪の魔法道具は着けた後、お互いが同意すれば主従関係が成立する。
ルザード子爵家を捨てて平民になるぐらいなら、シーラは俺の下僕となる道を選ぶだろう。
そう確信していたのに――応接室にルザード子爵家がやって来た際に、シーラの姿が見えないことに俺は焦る。
「……おい。シーラはどうした?」
「それが――」
俺が尋ねると、昨日パーティが終わった後の出来事をルザード家の領主が話した。
その内容を聞いて、焦った俺は叫ぶしかない。
「馬鹿が! 誓約書に名前を書いただと!?」
「お、落ち着いてください。シーラは平民になっても問題ないと考えていましたけど……すぐ帰って来るに決まっています!」
そう言われて……冷静になった俺は、本心を呟く。
「そうだな。ソフィーを新たな婚約者にしたのはシーラを酷使するためだけ、俺の元に無能しか残らない結末は避けたい」
「っっ……そう、ですか」
思わず口が滑り、ソフィーが悔しさから全身を震わせていた。
この時の俺は、まだシーラがすぐ戻ってくると考えている。
そして――数日経ってもシーラが戻ってこないせいで、俺は更に焦っていた。
婚約破棄を言い渡した翌日――今日は、俺の元に売られたシーラが来ることとなっている。
ルザード家に会うため廊下を歩き応接室に向かっている最中、俺は呟く。
「これで俺達は更に飛躍することができるだろう。シーラを奴隷にすれば、もう逃げられることを心配しなくていい!」
奴隷にする首輪の魔法道具は着けた後、お互いが同意すれば主従関係が成立する。
ルザード子爵家を捨てて平民になるぐらいなら、シーラは俺の下僕となる道を選ぶだろう。
そう確信していたのに――応接室にルザード子爵家がやって来た際に、シーラの姿が見えないことに俺は焦る。
「……おい。シーラはどうした?」
「それが――」
俺が尋ねると、昨日パーティが終わった後の出来事をルザード家の領主が話した。
その内容を聞いて、焦った俺は叫ぶしかない。
「馬鹿が! 誓約書に名前を書いただと!?」
「お、落ち着いてください。シーラは平民になっても問題ないと考えていましたけど……すぐ帰って来るに決まっています!」
そう言われて……冷静になった俺は、本心を呟く。
「そうだな。ソフィーを新たな婚約者にしたのはシーラを酷使するためだけ、俺の元に無能しか残らない結末は避けたい」
「っっ……そう、ですか」
思わず口が滑り、ソフィーが悔しさから全身を震わせていた。
この時の俺は、まだシーラがすぐ戻ってくると考えている。
そして――数日経ってもシーラが戻ってこないせいで、俺は更に焦っていた。
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