私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有

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第5話

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ヴァン視点

 俺はサフィラとの婚約を破棄して、エイダを新しい婚約者にすることができた。

 エイダの活躍はドルグア国でも有名で、活躍していないサフィラとは婚約を破棄したい。
 俺は父の国王を説得し、サフィラをリレック伯爵家から追い出すことができた。

 婚約者を変えてから1ヶ月が経って、リレック伯爵領で異変が起こる。
 モンスター達による被害が出たと聞き、俺はサフィラの発言を思い返していた。

 リレック伯爵家の屋敷に向かい、俺はモンスター達を対処して戻って来たエイダと応接室で話す。
 今までなら余裕で敵を倒してきたエイダが、今日は明らかに疲弊していた。

「エイダよ。モンスター達は、そこまで強かったのか?」

「いいえ。前に陛下から頼まれて倒したモンスター達より弱かったと思うのですけど……私の魔法の力が、弱まっているのかもしれません」

 困惑しながら話すエイダだが、思い当たる理由はある。
 俺は焦り、思わず聞いてしまった。

「それは……サフィラを、ここから追い出したからではないのか?」

「そんなわけありません! 今日は調子が悪かっただけですから、殿下はそこまで心配しないでください!!」

「わ、わかった……リレック領は今、モンスター達が攻め込んでいる。父上に報告した方がいいだろう」

 激怒するエイダに、俺は焦りながら提案する。
 王家の力なら対処できるが、父の許可が必要だ。
 報告して王家の力で対処しようとしたのに、エイダは叫ぶ。

「やめてください! 陛下はサフィラの力を信じていました。現状を話すとサフィラが優秀だったと思い込んでしまいます!!」

 思い込むというよりも、事実だからだと思うしかない。
 それでもエイダはサフィラの力だと信じたくないようで、何も問題ないと断言していた。

「ヴァン殿下は私の発言を信じて陛下を説得しました。サフィラの力だと思われたら、何を言われるか解りませんよ!」

「うっっ……そうだが、このままだとリレック伯爵領がどうなるかわからない」

「私がいるから大丈夫です! 何も心配しないでください!」

 エイダの発言を、俺は信じてしまう。
 そして――数日後、俺はエイダが負傷したと報告を受けていた。
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