私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです

第６９話

ラミダ視点

　捕獲隊の副首領ネイーズが行方不明で、捜索に向かった３番手のクロッサも連絡がとれない。

　追い詰められているはずだけど、ヴァがルと聖獣の専門家は冷静だった。

　そして――ようやく捕獲隊の首領のヴァガルが、聖獣リオウを捕らえるため動こうとしている。

「俺は今までこの部屋で何もしていなかったわけではない。準備は万全だ」

「はい。魔方陣も完成していますし、いつでも起動できます」

「リオウさえ手に入れれば、その武器で冒険者ギルドを潰してネイーズとクロッサを救出できる……本体がこの場にいるのだから、弱らせて捕らるだけでいい」

　そう言って――私は捕獲隊の作戦を思い返す。

　今から聖獣を弱らせる魔方陣を起動させて、リオウを急激に弱らせる。
　それと同時に屋敷に潜んでいた捕獲隊の戦闘員、そしてヴァガルがリオウを仕留めるようだ。

「リオウは一瞬で異変に気付き、分身を本体に戻して力を得るが……困惑している間に、全てが終わるだろう」

　そして――専門家が魔方陣を発動させて、ヴァガルが部屋を出る。
　ヴァガルの膨大な魔力は部屋を出た瞬間に察知されたようで、私達は気分が高揚しながらリオウの元へ向かう。

　リオウの元に向かおうとした時――私達の前に、焦っている様子の捕獲隊の戦闘員がやって来る。

「どうした？」

「はいっ……聖獣が異変に気付いた瞬間に逃亡して、現在総力をあげて追っています！」

　どうやらリオウは警戒していたようで、弱まった瞬間に屋敷から逃げたらしい。

　報告のために戦闘員が１人残っていたようで、数人はリオウを追いかけているようだ。

「弱まっているからすぐに追いつくし、ヨハン達の元に助けを求めたのだろう……無駄なことだ」

　そう言った瞬間に、ヴァガルの姿が消える。
　逃亡したリオウを追いかけたようで――私達にできることは、何もなかった。