私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです

第６４話

ラミダ視点

　いきなり屋敷を拠点にすると言われて、何も言うことはできなくなっていた。

「お前達が村に行くことは事前に予測されていた。聖獣が部屋の声を魔法で聞いていたからだろう」

「私達が屋敷に向かっている間、ヴァガル様はリオウに気付かれないよう屋敷に侵入して、一部の部屋を盗聴されないよう遮断しています」

　どうやら聖獣リオウが分身に意識を向けている隙に、ヴァガルは自分の存在が気付かれないよう対策を打ったらしい。

　そして――これから屋敷を中心に、聖獣を弱らせる結界を張るようだ。

　リオウに敵の存在を気付かれて分身を戻された場合、本来の力となったリオウはヴァガルでも危険らしい。
　分身に力を与えている今が最大の好機のようで、分身を戻しても倒せるほど弱らせる予定のようだ。

「とにかく、これから聖獣リオウを弱らせる。準備は専門家が内密に進めていたから……数日後には効力を発揮するだろう」

　リオウが気づいて本体を戻したとしても、弱っているからヴァガルが問題なく仕留める。
　そうすればアミリアはショックを受けるし、私達は今までリオウが不調だとしていた理由、そして消えた理由を捕獲隊のせいにできる。

「俺達に利用価値があると思われた時点で、貴様等の家は終わりだ。従ってもらうぞ」

　今まで聖獣リオウを利用してきた結果、世界でもトップクラスの盗賊集団に目をつけられてしまう。

　私達にもメリットがあったから――私達は、ヴァガル達に従うことにしていた。